IDC Japanは8月4日、国内企業のストレージ利用実態調査の結果を発表した。これによると、2009年のIT投資の大幅な抑制に伴い、ストレージインフラの見直しを本格的に進めている企業が増加しているという。また、この見直しのためにアセスメントサービスの利用が拡大しており、大企業では25.2%、中小企業では13.6%がサービスを利用済みだとしている。
今回が9回目となる同調査では、ウェブを利用した調査で938社から回答を得たという。今回の調査では、2009年のストレージ投資の大幅な落ち込みを契機として、ストレージインフラ投資に対する国内企業の考え方の変化や、サーバ仮想化環境のストレージ管理、さらにストレージ仮想化などのストレージ新技術の導入意向などに焦点を当てて調査を行ったとしている。
2009年は、他のIT投資と同様にストレージ投資が大きく落ち込んだが、それに対応してストレージインフラの投資方法や運用方法を見直す企業が増加した。IDCでは、回答企業の55.9%が2009年中にストレージインフラの投資方法や運用方法の見直しを行っていたと報告している。見直しの具体的な内容として最も回答率が高かったのが「バックアップ手法の見直し」(29.0%)。次いで「ディスクストレージ容量の利用率向上」(25.2%)、「ベンダー/SIerとの交渉による調達コスト削減」(24.8%)、「バックアップ統合」(21.8%)、「スモールスタートな投資手法への切替え」(20.6%)が上位を占めたとしている。IDCでは、比較的着手しやすく、効果が得られやすいバックアップの見直しとともに、ディスクストレージシステムの運用方法や投資方法を見直す動きが目立ったと分析している。
今回IDCでは、国内企業のストレージインフラに関するアセスメントサービスの利用状況についても調査した。その結果、大企業の25.2%、中小企業の13.6%が、有償無償を含めたアセスメントサービスをすでに利用しており、大企業の22.2%、中小企業の13.2%が今後の利用を計画していることがわかった。IDCでは、この数字からもストレージインフラの見直しが国内企業の重要な課題となっていることを読み取ることができるとしている。具体的なアセスメントサービスの内容としては、「運用管理コストの削減」(41.1%)、「インフラコストの削減」(36.6%)、「容量の利用率向上」(31.7%)、「消費電力/冷却コストの削減」(23.3%)、「ファイルサーバー管理の効率化」(23.0%)が上位5項目となった。
また、2010年のストレージ投資の重点については、第1位が「データ量増大への対応」(42.0%)で、次いで「バックアップの効率化」(34.2%)、「ストレージセキュリティーの強化」(21.0%)、「バックアップ統合」(17.9%)、「災害対策」(17.9%)が上位5項目を占めた。
IDC Japan ストレージ サーバー HCP PCs グループディレクターの森山正秋氏は「IT投資の増加が見込みにくい環境で、ストレージインフラの利用率向上やコスト削減が、国内企業にとって大きな課題になっている。その課題解決に貢献するストレージ仮想化やデ・デュプリケーションといったストレージ新技術による需要開拓は、ストレージベンダーに新しいビジネス機会をもたらす」とコメントしている。