「M&Aの対象として、まずはシステム開発会社を考えている」――。5月10日に開かれた日本ユニシスの決算説明会で社長の籾井勝人氏は、業界で生き残るためにM&Aで規模を拡大させていくこと、そしてその第一の対象としてITベンダー、とりわけシステムインテグレータ(SI)を考えていることを明らかにした。
籾井氏は、現状のSI企業を取り巻く環境について「単価の低減により、SI業は儲からない」と語ったうえで、「そういった環境では、ある程度の規模がないとプライムコントラクターとして生き残ることができない。規模が大きくないと、リスクをテイクできないという問題、あるいはリソースという問題を抱えることになる」という認識を示している。また籾井氏は「現在、日本ユニシスの売上高は3000億円強だが、(生き残っていくには)まだ足りないと思っている。5000億円(の売上高が)あればシステムサービス会社としてやっていけるだろう」とも語っている。
「プライムコントラクターとして生き残るには規模を大きくしないといけない」と語る籾井勝人氏
2005年に社長に就任してから籾井氏は、日本ユニシスグループを成長軌道に乗せるため、企業グループの体制を変更するなどの施策を展開してきている。現在同社が進めるM&A推進も、その一環だ。実際、12人からなるM&A専任組織を2006年1月に新設している。また、M&Aの案件の規模や内容に応じて、財務や法務などの関係者約30人からなる社内横断のバーチャルチームも編成している。M&A推進の進行状況について籾井氏は、「2007年3月末までにいくつか成功案件が出てくるだろう」と自信をのぞかせている。
籾井氏の社長就任以後、同社では「成長計画2006-2007」を立て、その中で(1)R&D強化、(2)グローバル展開、(3)三井物産との連携強化、(4)M&A推進――という4つの強化施策を進めている。三井物産との連携強化は、人事交流や組織化を進めることで、三井物産が持つ事業化ノウハウやグローバルネットワークから事業機会を拡大させるというものだ。
ここで注目されるのが、日本ユニシスの筆頭株主である「三井物産との連携強化」と「M&A推進」の関係だ。三井物産は、三井情報開発(MKI)やネクストコムといったITベンダーを抱えている。そういった状況で、日本ユニシスはまずはSI企業をはじめとするITベンダーとのM&Aを狙っている。注目されるのは、日本ユニシスがMKIあるいはネクストコムとのM&Aをするのでは、という見方もできるからだ。
こうした見方について籾井氏は「MKIやネクストコムのことは三井物産が言うべきこと。そうした企業とのM&Aが日本ユニシスにとってプラスになるかどうかは、われわれが判断しなければならない。筆頭株主である三井物産からMKIあるいはネクストコムとのM&Aが仮に出てきたとしても、日本ユニシスや日本ユニシスの株主にとっていいことだという判断がない限り、“はい、分かりました”というわけにはいかない」と語り、2社とのM&Aについては、合理的な判断をしていくだけと説明する。
日本ユニシスの2006年3月期(連結決算)の業績は、売上高3174億8600万円(前年同期比2.8%増)、営業利益50億6500万円(同51.4%減)、経常利益48億7000万円(同53.8%減)の増収減益となっている。システムサービス関連で売り上げを伸ばしたが、Unisysへの商標権等使用料負担とソフトウェア販売の不振から営業利益が減少している。
2007年3月期については売上高3270億円(同3.0%増)、営業利益60億円(同18.5%増)、経常利益55億円(同12.9%増)を見込む。システムサービス関連の好調が続き、加えて、この数年続いていたメインフレーム関連の落ち込みを、オープン系システムがカバーするだろうと見ている。
また同日に日本ユニシスは、グループのシステム構築会社である日本ユニシス・ソリューション(USOL)の100%出資子会社「USOLベトナム」を6月1日にベトナムに設立することを発表している。USOLベトナムは、グループが受注したシステム構築サービス案件での業務アプリケーション、パッケージソフトなどを開発する。国内大手ITベンダーとして初めてのオフショア開発専門の現地法人になるという。
USOLは現在、20億円以上のオフショア開発を展開しており、これまでは中国が主なオフショア開発先だった。しかし、「ベトナム政府は外資企業を優遇してくれていることなどをあわせて考えると、ベトナムは非常にやりやすい」(籾井氏)ことから、ベトナムにもオフショア開発を進めることにしている。開始当初は40人体制とするが、2007年3月末までにさらに40人を採用、2009年3月末までに200人程度を予定している。
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