弥生は6月7日、同社の代表取締役社長である平松庚三氏が6月12日付けで代表取締役会長に就任すると発表した。後任は、現代表取締役副社長の飼沼健氏が務める。
この人事に関する記者会見は、弥生のユーザー向けイベントである「弥生フォーラム」に合わせて行われた。今回の異動について平松氏は「ライブドアの経営に専念するため」と理由を説明した。平松氏は2006年1月24日に、弥生の親会社であるライブドアの幹部であった堀江貴文氏らが証券取引法違反の疑いで逮捕されたこと受け、同社の執行役員社長に就任。これまで、ライブドアと弥生の社長を兼任していた。
平松氏の後任として弥生の社長に就任する飼沼氏は、1955年生まれの51歳。1979年に吉田工業(現在のYKK)に入社。1984年よりYKK USA Inc.のControllerを務めたほか、アイディジー・コミュニケーションズ、AOLジャパンなどを歴任し、2003年に弥生に入社。2004年12月に取締役副社長に就任し、2006年2月からは代表権を得ていた。
飼沼氏は、弥生の現状と今後の戦略に関するプレゼンテーションの中で、量販店における弥生製品のシェア推移に関する調査データを引用した。それによると、ライブドアが強制捜査を受けた2006年1月16日以降も、同社製品のシェアは落ちず、3月の第2週には本数シェアで史上初の50%を達成したという。この調査結果を受けて飼沼氏は「弥生製品の市場における評価の高さを再認識した」という。
今後は「中小規模法人のビジネスでの成功を支援する」という基本方針に変更はないとしつつも、新たな戦略と戦術の元で、いまだ中小規模企業への浸透率はそれほど高くないという業務ソフトの普及に努めるという。具体的な施策としては、新製品や開発キットの投入により、ネットワークやサーバシステムに対応した同社製品のハイエンド版である「NEシリーズ」の拡充を進めるほか、4月下旬に発表したUSENグループとの業務提携による法人向け商品の相互販売、歯科医院向け業務ソフト「弥生デンタル」の事業化などを挙げた。この「弥生デンタル」は、以前ライブドアが「ライブドアデンタル」として事業を行っていたもの。5月に同社より事業譲渡を受け、今期より弥生の事業として本格的に展開するという。