IDC Japanは9月9日、国内モバイルワーキング市場における企業ユーザー調査結果を発表した。これによると、携帯電話やポータブルPC、スマートフォンなどを含む何らかのモバイル端末から社内システムにアクセス利用している企業は32.1%あり、「検討中」を含めると50.3%の企業に利用意向があることがわかったという。
IDCでは、モバイルワーキング市場を、モバイルネットワークの高速化やデバイスの多様化により、今後の成長が期待できる市場と位置づけている。同社では、モバイルシステムを利用した働き方、働く時間などによって、モバイルワーカーを3つの大分類と7つの中分類に定義。モバイルワーカー全体の中で、企業に雇用されており、仕事をするオフィスを持ち、かつ外出先や自宅などオフィス外で就業時間の20%以上の業務を行う人を「モバイルプロフェッショナル(オフィス型)」としており、その人口は、2009年末に960万人に達しているとIDCでは推定している。これは、就業人口の15.4%に相当するという。
また、モバイルワーキング市場で、企業ユーザーの768社を対象に利用動向や受容性などのアンケート調査を行っている。これによると、ユーザーが現在利用しているアプリケーションは、「電子メール」「スケジュール管理」「グループウェア」が上位を占めているという。また、将来的には「ウェブ会議」などのリアルタイムコラボレーションについての利用意向が高く、同市場の成長促進要因のひとつとなると分析している。また、導入にあたっての課題としては「データ通信料金」「セキュリティ対策」「紛失などの情報漏えい対策」が上位となり、これらが市場成長の阻害要因であると見ている。
先進ユーザーを対象に行った事例調査の結果からは、モバイルワーキングの導入目的が3つに分類され、「コスト削減、効率向上」「労働力の確保」「ダイバーシティ人事施策」の各ステップを企業が踏んでいることがわかったという。IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティマネージャーの眞鍋敬氏は、「企業がモバイルワーキングを導入する場合、目的やアプローチ方法を明確にすることが重要である。また、ベンダーや通信事業者は、モバイルワーキングへの適合性が高い企業セグメントでの導入実績を増やすこと、ユーザーのバックオフィスIT化を含めたコンサルテーションを行うことなどが重要である」とコメントしている。