「ヴイエムウェアの2010年の日本での成長率は、全世界の成長を上回る数字だった。日本は欧米より仮想化の採用が少し遅れていて、ようやく導入が加速してきたことも高成長の理由のひとつだが、積極的に日本市場に投資した結果でもある」。ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏は、2010年を振り返ってこう語った。
日本市場が大きく成長したのは、新規導入が増えたことはもちろんだが、包括契約などの大型案件が増えたことが大きいという。三木氏は「特に大手の既存顧客で多かったのが、これまでプロジェクト単位や部署単位で仮想化を導入し、社内に数多くの仮想化の島ができてしまったケースで、これらをまとめて全社で仮想化しようという案件が増えた」と説明する。「顧客は確実にプライベートクラウドに向かって進んでいると言えるだろう」(三木氏)
こうして着実に成長を続けるヴイエムウェアは、人員への投資も積極的だ。1年前には約90人だった従業員も、現在では約150人にまで増え、オフィスフロアも1フロアから2フロアへと拡張した。マーケティングやサポート、ローカライゼーションなどのスタッフへの投資は必須で、今後も同様に人員を増強する予定だという。
2011年、「さらに事業を拡大させるための施策は3つある」と三木氏。それは、引き続き既存の顧客を支援していくこと、新規および中小企業(SMB)の顧客を支援すること、そして新しいソリューションを拡大していくことだ。
まず、既存顧客の支援については、「日本企業におけるシステムの仮想化率は、グローバルのシステム仮想化率と比べるとまだ低い。まだ入り込めていない領域もあるため、そこにアプローチする。また、大型のプライベートクラウドを進めるため、コンサルティングやサポート事業を拡充する」と三木氏。さらには、2011年第1四半期中にはユーザー会を発足させ、事例の紹介やユーザー同士の情報交換会などができる場を提供したいとしている。
新規顧客やSMBの支援については、「VMware認定技術者プログラム(VCP)やVMwareセールスプロフェッショナル(VSP)などの資格プログラムを拡大させるとともに、パートナーとの連携を強化する。また、仮想化を初めて導入するユーザーのために立ち上げた情報サイト『IT価値創造塾』をはじめとするオンラインプロモーションをさらに強化していく」としている。
新ソリューションについては、「『GemFire』を中核製品として、クラウドアプリケーションプラットフォームの『VMware vFabric』をはじめとするプラットフォームビジネスを拡大する」としている。また、サービスプロバイダーなどのパートナーに対する新たなライセンス体系やサポート体制などを整え、「パブリッククラウドの立ち上げを支援する」と三木氏は言う。
こうした施策を進め、最終的には「ハイブリッドクラウドを実現させる」と三木氏。「パブリッククラウドもプライベートクラウドも立ち上がってきているが、その両方をつなぐハイブリッドクラウドを実現させたい。普及には時間がかかるが、両方を使える環境を提供するのがヴイエムウェアの役目だ」とした。