ヴイエムウェア、「ハイブリッドクラウドの実現を目指す」

藤本京子(編集部)

2011-01-27 18:33

 「ヴイエムウェアの2010年の日本での成長率は、全世界の成長を上回る数字だった。日本は欧米より仮想化の採用が少し遅れていて、ようやく導入が加速してきたことも高成長の理由のひとつだが、積極的に日本市場に投資した結果でもある」。ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏は、2010年を振り返ってこう語った。

三木氏 ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏

 日本市場が大きく成長したのは、新規導入が増えたことはもちろんだが、包括契約などの大型案件が増えたことが大きいという。三木氏は「特に大手の既存顧客で多かったのが、これまでプロジェクト単位や部署単位で仮想化を導入し、社内に数多くの仮想化の島ができてしまったケースで、これらをまとめて全社で仮想化しようという案件が増えた」と説明する。「顧客は確実にプライベートクラウドに向かって進んでいると言えるだろう」(三木氏)

 こうして着実に成長を続けるヴイエムウェアは、人員への投資も積極的だ。1年前には約90人だった従業員も、現在では約150人にまで増え、オフィスフロアも1フロアから2フロアへと拡張した。マーケティングやサポート、ローカライゼーションなどのスタッフへの投資は必須で、今後も同様に人員を増強する予定だという。

 2011年、「さらに事業を拡大させるための施策は3つある」と三木氏。それは、引き続き既存の顧客を支援していくこと、新規および中小企業(SMB)の顧客を支援すること、そして新しいソリューションを拡大していくことだ。

 まず、既存顧客の支援については、「日本企業におけるシステムの仮想化率は、グローバルのシステム仮想化率と比べるとまだ低い。まだ入り込めていない領域もあるため、そこにアプローチする。また、大型のプライベートクラウドを進めるため、コンサルティングやサポート事業を拡充する」と三木氏。さらには、2011年第1四半期中にはユーザー会を発足させ、事例の紹介やユーザー同士の情報交換会などができる場を提供したいとしている。

 新規顧客やSMBの支援については、「VMware認定技術者プログラム(VCP)やVMwareセールスプロフェッショナル(VSP)などの資格プログラムを拡大させるとともに、パートナーとの連携を強化する。また、仮想化を初めて導入するユーザーのために立ち上げた情報サイト『IT価値創造塾』をはじめとするオンラインプロモーションをさらに強化していく」としている。

 新ソリューションについては、「『GemFire』を中核製品として、クラウドアプリケーションプラットフォームの『VMware vFabric』をはじめとするプラットフォームビジネスを拡大する」としている。また、サービスプロバイダーなどのパートナーに対する新たなライセンス体系やサポート体制などを整え、「パブリッククラウドの立ち上げを支援する」と三木氏は言う。

 こうした施策を進め、最終的には「ハイブリッドクラウドを実現させる」と三木氏。「パブリッククラウドもプライベートクラウドも立ち上がってきているが、その両方をつなぐハイブリッドクラウドを実現させたい。普及には時間がかかるが、両方を使える環境を提供するのがヴイエムウェアの役目だ」とした。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]