オープンソースに関して対極的な理念を持つMicrosoftとJBossが、両社のサーバソフトウェアの互換性向上を目指して提携を結んだ。
MicrosoftおよびJBossは米国時間27日、JBossのJavaアプリケーションサーバソフトウェアとMicrosoftのWindowsやより上位のソフトウェアがうまく連携するよう、協力して作業に当たると発表した。
両社は、Webアプリケーションをバックエンドデータベースなどのシステムにリンクさせるアプリケーションサーバの市場において、今後も競合関係を維持すると述べている。両社の製品は、用途は似通っているものの、設計はまったく違う。JBossのアプリケーションサーバはJavaを基礎としており、Windows/Linux/Unixシステム上で稼動する。一方、MicrosoftのWindowsベースのアプリケーションサーバツールは、独自の.Netプログラミングモデルを基本としており、「Windows Server」オペレーティングシステム(OS)の一部となっている。
両社はしかし、双方の製品のディレクトリサービスやデータベースソフトウェア、システム管理ツールの統合性を高めていくと公言した。これが実現すれば、Javaと.Netベースプログラムを併用しているユーザーは、システムをより容易に管理し、リンクさせていくことができるようになる。
Microsoftは近年、オープンソースソフトウェアの台頭に頭を悩ませている。オープンソースソフトウェアは、コードの共有により合作的に開発されるもので、開発過程が秘匿されるMicrosoftやその他のプロプライエタリソフトウェアメーカーの製品とは対照的な存在だ。
知的財産団体やその手法、ならびにオープンソースソフトウェアの質/コストに関して批判を展開したこともあったが、Microsoftは現在、より協力的な態度を見せるようになっている。
以前は、Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmerが、Linuxおよびオープンソース理念を「ガン」などと呼んだりしたものだった。しかし最近はBallmerも論調を変え、先ごろ行われたCNET News.comによるインタビューでは、「わたしたちが競争するのは製品であって、時流ではない」とも発言している。
MicrosoftとJBossは米国時間27日、両社の製品を併用している顧客は多く、このたびの提携は意義深いものになると話した。Microsoftのプラットフォームテクノロジーストラテジー部門ディレクターBill Hilfは、「JBossは急速な勢いで成長しており、Java分野の一体化を推し進める駆動力となっている」と述べている。また、JBossのプロダクトマネジメント部門バイスプレジデントShaun Connollyは、同社の顧客の半数以上が、「JBoss Enterprise Middleware System」製品をWindows上で利用していると語った。
もっともHilfは、この提携を契機にMicrosoftが技術的/理念的な方針転換を図ることはないと釘を刺している。インタビューに応じたHilfは、同社とJBossとの交渉では「オープンソースの採用やJavaのサポートについては話し合われなかった」と述べた。