日本オラクルは8月24日、米Oracleが6月に買収を発表したDemantraについて、買収の背景や同社製品に関する記者説明会を開催した。
Demantraは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の中でも、サプライ(供給)というよりはむしろデマンド(需要)側に焦点を当て、需要管理や販売計画、販売促進管理、小売り計画などのソリューションに特化した製品を提供する企業。需要を予測することで在庫や生産プロセスが最適化できる、いわば「デマンドチェーンプランニング」(需要主導型プランニング)が実現する。
このデマンドチェーンプランニングは、「急速に成長している分野だ」と、Oracle アドバンストプランニングプロダクツ バイスプレジデントのNadeem Syed氏は話す。同氏は、これまでのSCMが、主に流通の仕組みそのものを効率化することに注力しており、顧客の需要を読むことまで考えていなかったことを指摘する。しかし、「すでに多くの企業は、需要管理や販売計画の重要性に気づいている。サプライとデマンドの両ソリューションを組み合わせて業務効率化や在庫最適化に結びつける必要がある」とSyed氏は述べた。
オラクルでは、SCM関連製品を主力製品として位置づけている。同社が同じく買収で手に入れたJD EdwardsのERP製品の中にもデマンドチェーンプランニングがすでに入っているが、「Demantraは同分野の専業ベンダーで、この分野では世界的に通用する製品を持つリーダーだ」とSyed氏は述べ、この買収がオラクルのSCM戦略に大きく貢献するものだとした。
オラクルがDemantraを買収したもうひとつの理由には、Demantra製品の約90%がOracle Database製品の上に構築されていること、またDemantraユーザーの75%以上がOracle Applicationsを利用しているという背景もあった。また、かつてJD EdwardsがDemantraを販売していたという経緯もあり、「オラクルのFusionインフラストラクチャとの互換性が高い」とSyed氏は話す。
買収が完了した後は、Demantraのスタッフはオラクルの技術開発組織に統合されるが、同製品を担当する特別チームを作り、製品へのフォーカスは維持する。また、Demantra製品とオラクル製品との統合に向けた開発を実施する。製品の販売は、Demantra製品単体で販売する場合と、オラクル製品と統合した形で提供される場合がある。
Demantra製品は、米国をはじめ、ヨーロッパやオーストラリアなど、英語圏を中心に販売されている。日本市場へは進出していなかったが、「現在日本オラクルにて人材配置や製品テストを急ピッチで行っている」と、同社 執行役員 アプリケーションマーケティング本部長の藤本寛氏。一方Syed氏は、Demantra製品がもともとダブルバイトを意識して作られた製品のため、日本語化にあたって作り直しが必要ない点を強調し、「2007年度中にはリリースできるだろう」と述べた。
Syed氏は、「買収における短期的なゴールは、既存の人員やシステム、プロセスを継続させることだが、中期的には製品の統合などによる相乗効果を目指す。また、長期的にはリソースを拡大し、革新を続けることが目標だ」とした。