Oracle Corporationが開催している年次ユーザーカンファレンス「Oracle OpenWorld 2006 San Francisco(OOW 2006)」の4日目となる10月25日、同カンファレンス最後の基調講演にOracleのCEO(最高経営責任者)であるLarry Ellison氏が登場。会場は、4万1000人の来場者で埋め尽くされた。
年々、来場者が増し、厳戒態勢ともいえる状況で行われるEllison氏の基調講演だが、今年はさらにOracleのコーポレート広報担当者が「1時きっかりにスタートするので遅れないように」との念の入れよう。気むずかし屋のEllison氏のことなので、さほど気にもしていなかったが、今年はサプライズセレモニーが待っていた。
NASDAQ市場への株式公開から20周年を迎えるOracleは、基調講演開始時間の午後1時に、OOW 2006の基調講演会場において、NASDAQのクロージングベルセレモニーを行って見せた。このセレモニーは、NASDAQの公式行事のひとつでありニューヨークにあるNASDAQのタイムズスクエアタワーにも生放送された。
NASDAQの社長兼CEO、Bob Greifeld氏は、「OOW 2006でのこのセレモニーは、過去最大の来場者の前で行われるものだ。20年前の株式公開時にOracle株を100株を買って今まで持っていると60万ドル以上の価値になっている。Oracleは、非常に顕著に成長した企業といえるだろう」とお祝いの言葉を述べた。
「このOracleの成長は、常に顧客の期待に技術革新で応えてきた結果といえる。NASDAQ自身もOracleの顧客であり、そのことに大きな誇りを感じる。8800万の売買があり、1秒間に2万トランザクションを実行しなければならないNASDAQにとって、Oracle製品は今やなくてはならないものとなっている」(Greifeld氏)
一方、Ellison氏は、「この20年間は、常にわくわくし続けた20年だった。20年間成長を維持できたことは、30万社のユーザー企業およびパートナー企業、そして6万5000人の従業員に感謝したい。次の20年も、Oracleは常にエキサイティングな会社でありたい」と挨拶した。
Unbreakable Linux戦略もバージョン“2.0”へ
お祭り気分も一転、基調講演に入ったEllison氏は、「Red Hat Linuxのサポートを、Oracleが提供する」とぶち上げ、「Unbreakable Linux 2.0」プログラムを発表した。同社は、Linuxに対応した最初の商用データベース製品の提供を1998年に提供。1999年には、Red HatやVA Linux、そして日本のミラクル・リナックスなど、さまざまなディストリビュータに投資をしている。
Linus Torvaldsというスターを生み出し、Oracleをはじめとするさまざまな企業による取り組みが企業顧客の目をひき、鳴り物入りでエンタープライズ市場に迎えられたLinuxだが、2006年現在でも爆発的な普及へとは至っていない。逆に、MicrosoftのWindows環境が、再び見直されている感もある。