「情報はビジネスに最大の力を与える」をテーマにOracle OpenWorld開幕

山下竜大(編集部)

2005-09-20 21:05

 米Oracleは9月19日、カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターにおいて、同社のユーザーカンファレンスである「Oracle OpenWorld San Francisco 2005」(OOW 2005)を開幕した。

 今年のOOW 2005は、PeopleSoftの統合や2005年9月12日に発表されたばかりのSiebel Systemsの買収などに伴い、約3万5000名が来場するほか、開催されるセッション数は約800、展示会場に出展する企業が約300社、来場するパートナー企業が約3000社など、あらゆる面で過去最高のイベントとなっている。

米Oracle PresidentのCharles Phillips氏

 カンファレンスの規模と同様に、同社も成長を続けており、2005年度の売り上げは118億ドルに達し、従業員数は145の国や地域で5万人以上、27万5000を超える顧客を抱えている。基調講演に登場したOracleの共同社長であるCharles Phillips氏は、「われわれは、すでに最大のエンタープライズソフトウェア企業に成長した」と言う。

 その言葉を裏付けるようにPhillips氏は、「トップ20の銀行の内の17社、証券会社のトップ15社の12社、テレコムのトップ10社のすべて、小売店のトップ15社の11社……が、すでにわれわれの顧客だ」と、あらゆる業界におけるリーダーシップについて紹介した。このコピーを使った広告は、サンフランシスコ国際空港のあちこちでも目にすることができたほどだ。

 このように着実な成長を続けることができる理由をPhillips氏は、「1万5000社のパートナーや7500社のISV、そして160万人の開発者やデータベース管理者(DBA:Data Base Administrator)によるエコシステムに支えられている。また、拡張性のある情報管理や深い業界知識、高いセキュリティ、統合されたスイート製品、オープンな業界標準への準拠などにより、最高のオーナーシップエクスペリエンスを提供するというOracleの戦略に基づくものだ」と話す。

 そしてOracleが目指す次なるゴールとしてPhillips氏は、「最適な情報を低コストで提供することであり、そのためには常に技術革新や拡張を継続していくことが必要だ」と話し、それを実現するために「Protect(保護)、Extend(拡張)、Evolve(進化)」という3つのキーワードを挙げた。

 Protect(保護)とは、特にPeopleSoftやSiebelなど、Oracleが買収した企業のユーザーに対するメッセージであり、既存の投資を保護することを約束するものだ。また、Extend(拡張)は、既存のOracle製品はもちろん、PeopleSoftやSiebelなどの製品もOracle製品として拡張していくことであり、Evolve(進化)では、適切なスピードで進化させ、安定した信頼性の高い製品を提供することを目指している。

次なる技術革新「Oracle Fusion Architecture」

 Phillips氏が掲げた、Protect(保護)、Extend(拡張)、Evolve(進化)という3つのキーワードを具現化するための次なる技術革新となるのが「Oracle Fusion Architecture」(OFA)だ。

 OFAは、これまでOracleが推進してきたOIA(Oracle Information Architecture)を進化させたもの。OIAでは、強力なGrid環境を基盤に、Data HubやApplication Serverによりビジネスプロセスやユーザーアプリケーションを統合していた。

 一方、OFAでは、Grid基盤上でビジネスプロセスやユーザーアプリケーションを統合することには変わりないものの、統合のためのミドルウェアとして「Oracle Fusion Middleware」(OFM)が採用されていることが最大の違いとなっている。

 このOFMは、今後Oracleが最も注力していく分野であり、Oracle自身の成長はもちろん、PeopleSoftやSiebelの統合の成否にも関わってくる重要な戦略と言っても過言ではない分野だ。

 OFMの特長をPhillips氏は、「包括的で、“Hot-Pluggable”で、Unbreakableであること。OFMは、新しいものではなく、これまでOracleが取り組んできたミドルウェア製品を統合したものだ」と話す。

 この言葉が示すとおり、OFMには、Javaコンテナやポータル、アイデンティティ管理、ビジネス・インテリジェンス(BI)、インテグレーション環境、開発ツール、運用ツールなど、ミドルウェアとして必要と思われるあらゆる機能が包括的に統合されている。

 「OFMは、すでに約2万6600人のユーザーに利用されており、2005年度には8億4300万ドルを売り上げている、最も成長の早い分野だ。すでに、多くの調査会社により、ミドルウェア分野でのリーダーと報告されている」(Phillips氏)

 このミドルウェア分野でのOracleの新たな取り組みが、Hot-Pluggableだ。

 Hot-Pluggableは、Oracleのミドルウェア環境はもちろん、他社製のミドルウェア環境や製品群、アプリケーションなどヘテロジニアスな環境を、より緊密に統合するための新たな取り組み。ソフトウェアをコンポーネントとしてモジュール化することで、OFM環境だけでなく、IBMやMicrosoft、SAPなどのミドルウェア環境においてもミドルウェア技術やビジネスアプリケーションを共有することを可能にする。

 この取り組みの一環として同日、OracleとIBMが、Oracleのアプリケーション製品の次期バージョンである「Project Fusion」において、IBMのアプリケーションサーバ製品である「IBM WebSphere」を利用できるランタイム環境を開発し、提供することを発表している。

 Oracleでは、2013年まではPeopleSoftとJ.D. Edwardsの製品群をサポートすることを発表しており、その間はIBMのデータベース製品である「IBM DB2」もサポートし続けることも明らかにしている。

Oracle Fusion Architectureは、Oracleの次なる技術革新となる。

今回のOracle OpenWorldには、およそ3万5000人が来場している。

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