サッカー・Jリーグの2008年シーズンが3月8日からいよいよ始まる。現在JリーグはJリーグ ディビジョン 1(J1)18チーム、Jリーグ ディビジョン2(J2)15チームで構成されているが、これらの対戦スケジュールはどのようにして決められているのか、ご存じだろうか? 実は、Jリーグの対戦スケジュールは、2〜3週間をかけて人手による手作業で決められていたという。これをコンピュータで効率化することはできるのだろうか――。
ビジネスルール管理システム(BRMS)を提供するアイログはこのほど、同社の最適化ソフト「ILOG CP」を活用して、J1とJ2、加えてヤマザキナビスコカップの対戦スケジュールの割当業務を効率化していることを発表している。ILOG CPは、Jリーグの対戦スケジュール作成ソフト「Jリーグ・マッチスケジューラー」に組み込まれて、採用以前は2〜3週間かかっていた作業時間を、約1日に短縮することが可能になったという。
Jリーグでは毎年、シーズンが終了した時に、翌シーズンの対戦スケジュールを決定しているという。対戦スケジュールとはつまり、“どの日にどのチームとどのチームを対戦させるか”を組み合わせることになるが、それを決める上でさまざまな“制約”が課題として存在する。
その制約とは、たとえば、チーム間の公平性を保つためにホームゲームの連続やアウェイゲームの連続を極力回避するというものがある。加えて、FC東京と東京ヴェルディのようにホームスタジアムを共有するチーム、ジェフユナイテッド千葉や柏レイソルのように同一地域に属するチームの同時ホーム開催を避けるといった制約も存在する。
このほかの制約として、たとえば「この日は、あるスタジアムでコンサートが開催されるために使えない」「この日は芝生のメンテナンスがあるために使えない」というようにスタジアムが使用できないというものだ。また、コンサドーレ札幌は3月中雪のためにスタジアムを使えないといったものも制約となってしまう。
実際の対戦スケジュールは、これらの“制約のスパゲティ”状態のなかで、慎重にそして公平に決められているのである。ただでさえ、複雑な制約があることに加えて、毎年の試合結果やチーム数の増加、各チームの個別事情などで年々変化してきており、対戦スケジュールの作成は困難を極めているという。こうした事情があるだけに、2〜3週間かかるのも無理のない話である。
今回、Jリーグ・マッチスケジューラーに組み込まれたILOG CPは、Jリーグが独自に設定している対戦ルールや各クラブからの多様な要望事項を織り込みながら、スケジュール割り当てにかかるプロセスの大部分を自動化することを可能にしている。また、このシステムでは、スケジュール決定の際の選択肢を効率的に広げることができ、最終決定の前に、より良いオプションを検討することも可能となっている。
Jリーグ・マッチスケジューラーは、アイログがカスタム開発し、2003年から稼働。クラブ数の増加や対戦ルールの変更などに合わせて、毎年、アイログの技術コンサルタントが保守とコンサルティングを行いながら、パフォーマンスを向上させているという。ILOG CPは、「制約論理プログラミング」と呼ばれる手法をベースにしたアイログの最適化ソフトウェアだ。