中堅中小企業のグループウェア導入実態、国産製品がシェア伸ばす--ノークリサーチ調べ

ZDNet Japan Staff

2009-10-30 11:17

 ノークリサーチは10月30日、2009年の国内中堅、中小企業におけるグループウェア利用シェアと評価に関する調査結果を発表した。

 調査は2009年6月から9月にかけて、年商5億円以上500億円未満を中心とした全国の民間企業を対象に行われ、5000社のサンプルから1480件の有効回答を得た。

 グループウェアの導入形態についての調査では、パッケージが90.9%、独自開発システムが4.9%、ASP・SaaS形態のサービスが4.2%との結果になった。形態比率においては、パッケージによる活用が広く普及していることがわかる。ユーザー企業固有の要件が少なく、社外からの利用が必要となるケースも多いことから、ASP・SaaS形態の比率も、他のアプリケーションカテゴリと比較すると比較的高くなっているという。

 一方で、既にパッケージを社内で運用しているユーザー企業にとってはさらなる機能改善や社外への設置などに対するニーズが低く、現状維持を望む傾向が見られたという。同社では、今後この比率が大きく変化する可能性は低く、ASP・SaaS形態は新興企業や新規設立の事務所といった新規導入が主体になると予想している。

 パッケージ別の利用シェアについては、「Lotus Notes/Domino」「Microsoft Exchange Server」といった海外製品が相対的なシェアを下げる一方で、「サイボウズ(Office/ガルーン)」や「desknet's/iOffice」「StarOffice」といった国産ベンダーがシェアを伸ばしている。トップはサイボウズOfficeの24.2%で、ガルーン(6.1%)と合わせて30%超。2位はLotus Notes/Dominoの21.3%、次いでMicrosoft Exchange Serverの12.5%となっている(下図参照)。

グループウェアパッケージシェア ノークリサーチ調べによる国内中堅中小企業における2009年グループウェアパッケージシェア(N=834)

 同社では、グループウェアでは、ユーザーが使い慣れた画面を継続して利用することを望む傾向が強く、その側面を考えた場合のスイッチコストが高い製品と位置づけている。そのため、企業、分社化、事務所新設といったタイミングで、過去に利用していた製品を導入するケースが多く、それが国産ベンダーの継続的な強みにつながっていると分析している。

 また、「パッケージ利用予定シェア(新規導入または今後も継続して利用する意向のあるパッケージ)」については、「サイボウズ(Office/ガルーン)」は、首位を維持している(21.9%)ものの、2008年と比べて8.1ポイント減(年商50億未満では10.8ポイント減)と減速の傾向が見られるという。一方で、ウェブ会議機能との連携やSaaSへの取り組みを進めている「Lotus Notes/Domino」(全体で20.2%)については、年商50億未満で5.0ポイント増、多くの周辺製品を訴求する「desknet's」が全体で5.0ポイント増の15.8%となっており、グループウェア単体に限定されない形での訴求を行っている製品が利用予定シェアを伸ばしていると分析している。

 利用シェア上位5つのパッケージに対するユーザーの評価では、サイボウズが78.8ポイント、desknet'sが74.3ポイント、Microsoft Exchange Serverが71.7ポイント、Lotus Notes/Dominoが69.3ポイント、Star Officeが66.9ポイントとなっている。小規模でカスタマイズも少ない製品の評価が高く、大規模ユーザー向けの製品は評価が厳しくなる傾向にある。こうした傾向自体に変化はないが、ポータル製品などとの連携を訴求する「Microsoft Exchange Server」は対象規模を考慮すればやや評価が高く、同社では他の情報系アプリケーションとの連携による使い勝手の良さが今後の評価を左右するポイントになると予想している。

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