UBICと日本オラクルは12月2日、企業の国際訴訟を支援するビジネスで協業を開始したことを発表した。オラクルの文書管理システムとUBICの電子証拠開示支援システムを連携させて、国際訴訟で求められる電子証拠開示を支援する。
UBICの電子証拠開示支援システム「Lit i View」と、オラクルの文書管理システム「Oracle Enterprise Contents Management(ECM)」に含まれる「Oracle Universal Content Management(UCM)」と「Oracle Universal Records Management(URM)」とを連携させた「i View Family」をリリースする。またUBICは、システム導入と運用で必要となる証拠開示支援サービスの経験を活かしたコンサルティングサービスとシステム構築サービスも同時に提供する。
i View Familyを導入することで、文書管理ポリシーに沿った情報資産管理が可能になり、訴訟対象データの絞り込みを素早く効果的にできるとしている。訴訟になる前から情報資産の把握が容易になれば、「Safe Harbor」を活用することで提出データの“防御性(Defensibility)”が向上するという。同時に、収集範囲の精査でムダなコストのチェックも早期に行えるとしている。Safe Harborとは、訴訟関係者の法的責任を軽減する規則。訴訟関係者は誠実な行動を取った時に、この規則が適用されて法令違反を問われない。ここで言う防御性とは、訴訟相手方からの疑義がなされないようにすることだ。
現在グローバルで展開する日本企業の法務部門や知的財産管理部門の課題として、米国での民事訴訟で要求される証拠開示への対応が挙げられる。証拠開示では、各種資料などの書面での開示(Paper Discovery)とともに関係者が使用するPCや記録媒体に保存されているデジタルデータの開示(e-Discovery)が求められるケースもある。
2006年12月の米連邦民事訴訟規則(FRCP)改正で、e-Discoveryを要求される可能性が従来以上に高まっている。デジタルデータの開示で必要とされる処理や対応を怠ると、制裁の対象となり、さらなる開示要求に加えて、数十億円規模の制裁金を課せられる事例も存在するという。
UBICは、証拠開示支援サービスを提供しており、これまでに120件以上を手掛けているという。増加傾向にある国際訴訟の中で、企業の法務部門から、訴訟発生以前から訴訟リスク対応ができないかという要望を寄せられているという。そうした要望に応える形で電子証拠開示を支援するLit i Viewを12月から提供している。