フランスベッドメディカルサービス--基幹システムでの仮想化によるサーバ統合で“二重苦”を克服

宍戸周夫(テラメディア)

2008-11-05 08:00

レンタル事業に特化したシステムをフルスクラッチで開発

 フランスベッドメディカルサービスはその名の通り、フランスベッドホールディングスのグループ会社。ベッド国内販売No.1を誇るフランスベッドの販売会社であるフランスベッド販売が1987年に医療用ベッドや車椅子などの福祉用具のレンタル事業を開始、それが会社の母体となっている。一般の在宅向けに販路を拡大、2000年4月の介護保険制度導入に伴い、さらに事業を拡大している。

 同社がレンタルする福祉用具はベッドや車椅子、杖など12品目。事業を開始した当時は、メーカーであるフランスベッドのシステムをいわば“相乗り”の形で使っていた。しかし、メーカーのシステムはあくまで製品の販売管理システムであり、レンタル事業における商品管理、顧客管理、また日々のレンタル料の計上などが難しい。そこで、フランスベッドメディカルサービスとして独自のシステムを立ち上げたのが、2003年4月のことだ。

 その実際のシステム開発を担当し、運用を任され、さらに今回のテーマである仮想化によるサーバ統合もリードしたのが、大手システムインテグレーター(SIer)のTISである。

 そのTISと同社のエンドユーザーとの橋渡しのような役割を担い、システム企画を担当しているのが業務部システム課。課長代理の森勝博氏はその経緯をこう説明してくれた。

森勝博氏 フランスベッドメディカルサービスの業務部システム課で課長代理を務める森勝博氏は営業推進部営業開発課を兼務している

 「当時、レンタルに特化したパッケージなどありませんでしたので、フルスクラッチで開発することになりました。レンタルはその期間がまちまちで、またどのお客さんにどの商品がレンタルされているか、さらには料金をお客さんからだけでなく、国からも請求する仕組みなどが複雑に絡み合い、その資産管理が非常に難しいのです」

 同課主任の池田有吾氏が言葉を続ける。

 「コンピュータのレンタルなどのように期間が決まっているものと異なり、介護用品のレンタルは期間が決められないのですね。ですから毎月毎月レンタル契約を更新するというような、非常に特殊な形になっているのです。そのためパッケージがなく、フルスクラッチで開発したということです」

 介護保険が浸透した今では、これに合わせたパッケージも提供されている。しかし当時はこうしたものはなく、フルスクラッチしか選択肢がなかった。

コストと期間の“二重苦”

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