行き当たりばったりで見積もりの甘いスケジュールやスコープクリープ(プロジェクトの対象範囲がじわじわと広がること)、メンバーを突然襲う病気、サプライヤの倒産は、プロジェクトを狂わせる可能性がある(そしておそらく狂わせることになる)ものごとのほんの一例である。そして、現代社会においては時間というものが効率を測る最も一般的な基準となっているため、こういった出来事によって引き起こされるスケジュールの遅れは、(あなたの評判を落とすだけでなく)金銭的な損失を被らせるおそれがあるのだ。以下に、次のプロジェクト計画の立案に役立つうえ、プロジェクトを高い品質レベルで予算内に抑えてスケジュール通りに終わらせることを確約できるようなアドバイスを挙げている。
#1:要求を詳細に分析する
プロジェクトに関することをできる限り詳細に細分化したうえで正確に理解しよう。あいまいなところがあれば、質問してはっきりとさせておかなければならない。最終的には、専門家を雇ったうえで業務要件や機能仕様、設計要求を明確にドキュメント化する必要がある。また、スコープクリープにも注意しておかなければならない。スコープクリープだけのせいで、それまでのすべての苦労が台無しになる場合もあるのだ。必要があれば、プロジェクトのスコープを狭めたり、統合にかなりの期間が必要となるような計画外の新機能追加を避けたりするために、積極的な対策を採るべきである。
#2:利用可能なリソースを的確に割り振る
仕事を完了させるのに十分な要員が確実に現場に配置されるよう、利用可能なリソースを要件に合わせて的確に割り振らなければならない。ハードウェアやソフトウェア、要員、ツール、ドキュメントなど、プロジェクトの遂行に必要となる適切なインフラすべてを、プロジェクトの開発が始まる前に余裕をもって洗い出しておく必要がある。
#3:トレーニングを実施し、知識の移転を行う
トレーニングが必要な場合には、それをプロジェクトのスケジュールに組み込まなければならない。トレーニングを、チームメンバー各自が勤務時間外に行うものという位置づけではいけない。トレーニングは、プロジェクトのスケジュールや予算に組み込んでおくべきものなのだ。
#4:リスクを洗い出す
潜在的なリスクを洗い出し、そういったリスクによって引き起こされる不測の事態に取り組む計画を作成しておこう。突発的な事態が起こったり、要員が失敗したりした場合に備えて、プロジェクトの期日を守るためのバックアップ計画を用意しておくのだ。この「代替計画」に記述されている行動は、ものごとが予想どおりに進まなかった場合にあなたの支援システムとなる。
#5:予測をたて、的確にタスクを割り当てる
チームメンバーに役割と責任を割り当て、各タスクの担当者を明確にしておくべきである。また、プロジェクト管理ツールやガントチャートを活用してだれが何を行うかを記録し、各アクティビティの開始日と終了日を明確にしておくべきである。各タスクに対して明確な責任者を割り当てておかないと、責任範囲が重なったり、取り組みが重複したり、アクティビティに余計な時間をかけてしまったり、はては製品品質を低下させたりすることになりかねない。
#6:仕事をモジュール化する
主なアクティビティをより小さなアクティビティに分解していき、各アクティビティがそれ自体で完結し、他のアクティビティに影響されないようにする。そしてその後、それらを論理だてて順序づけた後で時系列順で最も小さなアクティビティから実行していくのだ。
#7:余分な会議を設けない
会議は、プロジェクトの状況について議論するために行うか、差し迫った問題に対処するために必要に応じて行うようにするべきである。明確な議題がなく、長く果てしない会議を行っても明確な結果は出ないため、時間の無駄になるだけだ。
#8:ものごとを書き記しておく
プロジェクトの失敗や成功をドキュメント化しておかなければならない。これは重要だ。というのも、こういったものは、他のプロジェクトで似たようなアクティビティが発生した場合に、教訓として参照できるからだ。プロジェクト進捗管理ツールを用いて、プロジェクトの高レベルな概観を視覚化し、プロジェクトアクティビティの進捗を測定する。そして、各マイルストーンでプロジェクトの実績を評価し、その都度プロジェクト進捗管理用データを更新するべきである。
#9:世界規模の分散開発に注意を払う
世界規模の分散開発モデル(開発がさまざまな国に分散され、1日24時間、1週7日間、休むことなく開発が続けられる環境)をとる場合、常に明確なコミュニケーションが行われるようにし、分散した場所や複数の国に分かれて作業を行うチームメンバーの間で誤解が生じないように配慮する。コミュニケーションが円滑かつ定期的に行われるよう調整し、どんなことも見落とさない体制をつくろう。
#10:問題を上司に相談する
問題が発生した際には上司に相談し、それを解決するために意見を出し合うべきである。事態が回復不能なところまで悪化した後で対処を試みるのは最も避けるべき対応である。