英語ができないもどかしさ
「Akio? Do you understand?」(アキオ? 分かってる?)。また、外国人にこう言われてしまいました。分かった風の顔で外国人の話を聞いていましたが、本当は全然分かっていません。質問された内容も分かっていませんでした。帰国子女の同僚に訳してもらい、何とか質問に答えた僕。何でもないような顔をしていても、心の中は惨めな思いでいっぱいでした。「どうして僕って英語ができないんだろう」
僕の英語の勉強はこんな惨めな思いをどうにかしたいということがきっかけでした。中学、高校、大学と英語をやってきて少し自信があったのに、実際に会社に出ると自分の英語が全然役に立たないと気づいたのです。メーカーの広報という立場上、対外的に社外の人と会話することもあります。その中には当然、英語を話す外国人もいます。そのつど同僚の助けを得て切り抜けてきましたが、実際には分かったような顔でうなずくことがうまくなるばかり。英語を勉強するチャンスがあったのに十分やっていなかった――そんな後悔の念が沸いてきます。
もちろん、社会人になって英語をまったく勉強しなかったわけではありません。英語のウェブサイトを見てみたり、たまにはCNNを視聴してみたり、自分なりには勉強をしたつもりでした。しかし、どれも続きませんでした。
ある時僕は、勉強が長続きしない原因が目標を明確に設定しないことにあると気づきました。どうも「英語を使いこなす自分」をイメージするだけではダメなようです。「英語を話せる自分に、どのような語学の技能があるかを明確にしなくては」と考えた僕は、その目標にTOEICを使おうと考えました。具体的な目標は、2年でTOEIC 800点を獲得し、仕事で英語を使えるようになることです。そう決意したのは2007年の年末でした。
いかにして勉強を進めるか
とはいえ、フルタイムで働いていて、家族もいる僕には自由な時間があまりありません。スクールに通うのは難しく、テキストを購入して勉強することを中心に考えました。しかし、TOEIC関連のテキストは膨大な数が出版されていて、書店で眺めても途方に暮れるばかり。会社の同僚には(何となく悔しくて)TOEICを受験するとは話していなかったので、お勧めのテキストを聞くこともできません。微妙な自尊心が向上心を邪魔します。
「そうだ、アマゾン様にすべてを委ねよう」。途方に暮れた僕はそう考えました。 TOEIC初心者の僕がテキストを数ページ立ち読みしても、どのテキストがいいのか分かるわけがありません。そこで、Amazon.co.jpの読者レビューを全面的に信用することにしたのです。僕と同じ考えでテキストを購入した人も多いようで、電車で同じテキストを使っている人をその後何人も見かけました。
選んだのは、「TOEICテストこれ1冊で全パートをモノにする」(こう書房)でした。勉強法は単純で、付属のCDの音声をiPodに格納し、テキストの問題を解くだけです。リスニングについては苦手意識を持っていたので、しつこいくらい何度も聞きました。リーディングは問題を解くと同時に、重要そうなところをノートに書き取りました。このテキストは、2008年3月末にTOEICを初めて受験するまで通しで2回やりました。これもAmazon.co.jpの読者レビューで「私は2回勉強しました」と書いてあることを真似ただけです。