前回までは、火を使えるコンロが1台しかないという条件の中で晩飯を作り、その工程をプロセス志向的に改善することに挑戦した。図を描くことによって、調理の順番を見直し、何とか効率良く、暖かい晩飯をつくることができた。今回からは、いよいよ中級編。晩飯ではなく仕事をプロセスしてみよう!
仕事の流れを見える化してみる
今回のシナリオはこうだ。私は営業部に所属し、最前線で顧客に商品を販売するセールス担当者である。毎朝、自宅で電子メールをざっと確認してから出勤。朝の会議で重要情報を仲間と共有した後、営業活動に出かける毎日だ。
会社の中での私の任務は、商品を販売し収益を上げることにある。しかし、私が顧客に直接商品を手渡して、その場で代金をもらうわけではなく、商品は配送センターから出荷され、納品後に経理部が請求書を発行し、代金を回収するといった流れになっている。
おおまかな仕事の流れを個条書きにすると、以下のようになる。
- 顧客が商品を発注する
- 営業が受注する
- 営業が配送センターに出荷を指示する
- 配送センターが顧客に商品を納入する
- 顧客が商品を検収する
- 経理が売上を計上する
- 営業が顧客に代金を請求する
- 顧客が代金を支払う
- 経理が代金を回収する
言葉だけだと分かりにくいので、図を描いてみよう。前回のように「レーン」を用いてみる。各レーンには、仕事の流れにかかわる登場人物である、取引先(顧客)、営業(私)、配送センター、経理を割り当てよう。
図1を見ると、顧客から営業、営業から配送センター、配送センターから顧客、顧客から経理、経理から営業、営業から顧客、顧客から経理へと、物事が流れているのがよく分かる。一番最後の「顧客から経理」に流れているものの中身は、もちろん銀行振込によるマネーの流れを意味している。
また「配送センターから顧客」に流れるのは商品だけではない。「納品書」や「受領書」も届けられる。届いた商品に問題はないか顧客が確認し、顧客の検収印が押印された受領書が経理に届いた段階で売上として計上される、といった流れになる。