日本オラクルが2月1日から開始する「Oracle Database 11g Enterprise Edition」の活用促進キャンペーンは、67%引きという値引率が大きな注目を集めている。
圧倒的な割引率を示すことで、日本における年度末需要を狙い、遅れが生じているユーザー企業の導入意欲を顕在化する狙いもあるが、その一方で、CPUのマルチコア化が進み、それに伴い、ライセンス料が高騰しやすい日本オラクルのライセンス体系を、いわば「調整する」役割を担うことにもなっている。
日本オラクル、常務執行役員システム事業統括本部長の三澤智光氏は発表の席上で「データベースのコモディティ化が叫ばれ、データベースはどれも同じという認識が広がっている。そのなかで、オラクルは高すぎるという理由だけで、競合他社の製品を選択したり、あるいは下位製品を選択する例が出ている。期間限定で提供するオラクル“クルクルキャンペーン”の新たな価格体系によって、ユーザーは、コストとリスクをバランスした適正なデータベース製品を選択できるようになる。そして、Oracle Database 11g Enterprise Editionの機能性を考えれば、他社とも十分競合できる価格になる」と語った。
そして、日本オラクルにとっては、依然として多くのインストールベースがあるOracle 7や同8i、あるいは同9iといった過去のデータベース製品からの移行を促進させたいという思惑もある。
三澤氏は会見でこんな問題提起をした。
「CPUを追加すれば、データベースの性能問題は解決するのか」
「都市伝説のような話だが」と前置きしながら、「当社の調査によると、性能のボトルネックの理由がCPUだったケースはわずか9%でしかない。ディスクアクセスの問題が43%、そして非効率なSQLのデザイン、アプリケーションの書き方やインデックス設計の非効率性が原因のケースは48%に達した」という。
つまり、注目を集めるマルチコアCPUに乗せ換えたとしても、必ずしも「データベース性能の問題解決」にはならないというのだ。
「パフォーマンスを発揮するために、CPUの乗せ換えやメモリのチューニングといった対処を行っても限界がある。一時的なコストを優先し、かつてのデータベースをひきずるのではなく、最新データベース技術を活用することで、解決していくことが必要」と提案する。
「開発終盤のテストで、パフォーマンス劣化が顕在化したり、想定以上のデータ量増加に対応できずに応答性能が落ちるということはかなり多くのシーンで見られる。それを解決するために、アプリケーションの見直しや、ハードウェアの追加投入のほか、これを解決するための調査工数の増加、追加人員の投入など、逆にコストが増加してしまうという例もある。こうした問題は、Oracle Database 11g Enterprise Editionが持つ自動化された機能によってすべて解決できる」(三澤氏)
こうした問題解決が可能なソリューションをより低廉な価格で導入できるようにし、移行を促進するのが、今回のキャンペーンということになる。
「コストばかりを優先すると、リスクが増大する構造に陥るだけでなく、逆にコストが増大するケースもある。それを多くの技術者、ユーザー、パートナーに知ってもらいたい」(三澤氏)
オラクル クルクルキャンペーンは、低価格での訴求ばかりが目立つが、実はデータベース性能の劣化という根本的な問題解決において、オラクルの優位性を改めて認識させようという仕掛けが用意されている。3万人の技術者を対象としたセミナーを同時並行で進めるのもそうした狙いからだ。
「認知を広げるための活動をやってこなかった反省がある」と三澤氏。今回の販促キャンペーンは、低価格を前面に打ち出した、原点回帰にも近い戦略的なプロモーションともいえそうだ。