「わが社の業績が上がらないのは何故だ!」--その理由を論理的に考える方法

梅田正隆(ロビンソン)

2009-06-26 15:15

 前回(「婚活」の成功確率をアップする戦略的な方法--マーケティングぽくやってみる)は、婚活に戦略的なアプローチをする方法について考えた。物事に対して、戦略的に考え行動するということが、どんな感じかイメージしていただけたのではないかと思う。今回からは、ビジネスの世界における戦略について、少しずつ考えていくことにしよう。

問題の解決策が別の問題を生む悪循環

 今回の経済危機では、米国型の企業経営といわれる「株主価値至上主義」という手法のホコロビが見えた気がする。

 カナダの経営学者であるHenry Mintzberg氏は、サブプライムローン問題が発生するずっと前から、米国における株主価値至上主義の企業経営は危機的状況にあると指摘してきた。

 たとえば米国の企業経営には、次のような好ましくない意思決定の傾向が見られる。

「株主価値至上主義」の企業経営に見られがちな意思決定 「株主価値至上主義」の企業経営に見られがちな意思決定

 最近では、企業経営者が受け取る巨額の報酬に米国市民の批判が集まるようになったが、図のようなプロセスにおいて経営者が実際に実行したことは、買収で大枚をはたいたか、あるいは数多くの社員を解雇したかである。

 業績を改善できたわけではないし、大量解雇によって貴重な経験やスキルが失われている可能性もあり、将来の業績回復も全くアヤシイ。それなのに経営者は腰が抜けるほど巨額な報酬をもらって、次の会社へ移っていく。

 今回の景気低迷のあおりを受け、同じような意思決定しているある外資系ITベンダーがある。

ある外資系ITベンダーの意思決定の変遷 ある外資系ITベンダーの意思決定の変遷

 人員を増強しておきながら、同時期にリストラを実施するという矛盾した意思決定は、社員を非常に不安にする。社員の気持ちなどお構いなしのマネジメントに対する不信感が蔓延し、労働意欲も急降下。まさに「お気の毒」な状態にある。短絡的な問題の解決策が、別の問題を引き起こす。この連鎖はいつか組織崩壊につながるだろう。

 経営者は、そして企業という船の乗組員たる我々は、日々発生する課題に対して、もっと論理的に思考し、意思決定しなければならないようだ。

課題を論理的に整理する

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