BIツールのカタログ、意味わかりますか?--BIアーキテクチャから学ぶ初歩のBI用語

梅田正隆(ロビンソン)

2010-05-20 18:25

 前回(「で、結局BIって何なのさ?」と聞かれたときに困らない基礎知識)は、データを活用するビジネスインテリジェンス(BI)の取り組みが企業の競争優位につながることについて理解した。今回は、BIの取り組みに欠かせない道具である「BIツール」について見ていくことにしよう。

 「BIに取り組むための道具」というと、何かものすごく大規模で高価なものを想像してしまうかもしれないが、実は私たちの身近にも結構ある。極めて小規模な分析なら紙と鉛筆を使って計算することは可能だし、データをインプットして集計結果を個人的に検討するのであれば、Excelなどの表計算ソフトが手軽で便利だ。

 しかしこれが企業規模になると話は別だ。企業が保管するデータは、いまやテラバイト(ギガバイトの1024倍)あるいは、ペタバイト(テラバイトの1024倍)の規模に達している。このような大規模なデータを表計算ソフトで扱うのは現実的ではない。

 そのうえ、膨大なデータの中には、重複したデータや断片化したデータ、ときには事実ではないデータなども含まれていることがある。そうした質の良くないデータを「ダーティデータ(Dirty Data)」と呼ぶ。どのように大量のデータを管理し、効率的に活用するのかは、いまだに議論の的となっている、かなり難しい問題だ。

データを起点にBIアーキテクチャを眺めてみる

 組織に属する私たちがBIに取り組むためには、大量のデータを手作業で収集したり、整理したりすることは困難だ。そこで、データを機械的に(コンピュータを使って自動的に)収集し、分析(できれば自動分析)して、その結果をみんなで共有し、行動していけるようなIT環境が必要となる。

 こうしたIT環境を整備する人のことを「ITアーキテクト」と呼ぶ。ITアーキテクトが、システムやアプリケーションを用意して、BIへの取り組みを可能にする仕組みを整える。そうした仕組みの構造自体を「アーキテクチャ」と呼び、BIを実現するためのアーキテクチャのことを「BIアーキテクチャ」と呼ぶ。

 一般にBIアーキテクチャは、データを中心にして考えることが多い。この連載(BIによるデータ活用ことはじめ)で見てきたように、BIは「正しいデータから得られたインテリジェンスを基に適切に意思決定を行う」ことが重要であるからだ。データを起点に見てみると、BIアーキテクチャは次のような要素から構成される。

データを起点に見た場合の、BIアーキテクチャの要素 データを起点に見た場合の、BIアーキテクチャの要素

 さて、各要素について簡単に見ていこう。

 最初の「収集」のプロセスにおいて、大変悩ましいのがデータの「質」だ。すでに述べたように、大量にデータがあったとしても、その質が良くなければ適切な意思決定を行えない。質の良いデータを収集することが大切だ。そこでまず、どのようなデータを集めるべきかを明確にし、ERPシステム(基幹業務システム)などから、できるだけ質の良いデータを収集する。

データは「よく洗ってから保存する」

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
経営

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. 運用管理

    IDCレポートが明かす、AI時代において「プライベートAIインフラ」が企業競争力に果たす役割と効果

  3. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]