(編集部より:連載「ITコミュニケーションのお作法」では、主に新社会人に向け「仕事」としてメールやウェブサービスを使っていく際の心構え、ツールの紹介などを7回にわたって掲載する。筆者の後藤康成氏は、3月1日にスタートした「feedpath Rooms」などのウェブサービスを提供するフィードパスのCTOである。前回の記事はこちら)
今回からは、前回までに紹介してきたさまざまなITツールとその特性について、個々の機能にフォーカスして掘り下げてみたいと思う。今回は、ビジネスシーンで日常的に利用されるコミュニケーションツールである「メール(電子メール)」やを中心に「VoIP」「インスタントメッセンジャー」について見てみよう。
インターネットが普及するまで、ビジネスで利用されるコミュニケーションツールのメインは固定電話とFAXであった。新人教育の第一歩は電話の受け答えだった。その後2000年ごろから多くの企業で固定電話に加えて営業マンなどは携帯電話を持つようになり、ビジネスでのメッセージコミュニケーションはFAXからメールとなっていった。その後メールは電話、FAXと並んでビジネスパーソンにとって中心的なメッセージ伝達手段となっており、現在ではメールなしでは仕事が捗らないと言われるほどの地位を獲得している。
また、電話機でのコミュニケーションに目を向けると、インターネットのブロードバンド化により通常の構内電話(固定電話機)から「VoIP(Voice over IP)」と呼ばれる技術を採用したIP電話(IP-PBX)が企業に導入されはじめている。IP電話は電話機に変わるだけでなく、コンピュータが電話端末となり、テレフォンカンファレンスなどの複数の拠点でのリアルタイムコミュニケーションが実現でききる。
下の図は縦軸に「メッセージの情報量」、横軸に「リアルタイム性」をプロットしたものである。VoIPは基本的に電話機と同等の位置づけ(もしくはリプレース)として導入されるケースが多い。情報の伝達はリアルタイムだが、他のシステムとの連動等が行われない場合、伝えられる情報は音声のみとなる。また、音声情報はアーカイブをしない限り、そのまま流れていってしまう。
今年社会人となるようなデジタルネイティブ世代はメール、とりわけ携帯メールでのコミュニケーションを情報伝達の中心的な手段としていることだろう。社会人としてのメールの送受信は、携帯メールとは勝手が違い、相手にとって読みやすい誤解のない文章を書くことを心がける必要がある。また、社内宛のメールと社外宛のメールとでフッターのシグネチャ(署名)などを切り替えたりといった形で、より「会社の窓口」としての役割を意識したやり取りを求められるケースもある。
これまで企業が導入するメールシステムは、社内ネットワーク上にメールサーバを設置し、クライアントPCにインストールしたメールソフトウェアからメールサーバにアクセスして送受信するスタイルが多かった。現在では、社内にサーバを置かずに、クラウドサービス(SaaS)を利用し、ウェブブラウザからメールの送受信を行う「ウェブメール」も導入が進んでいる。
ウェブメールの利点は、メールメッセージはクラウド上にあるので、セキュリティポリシー上の問題さえなければ、社外であっても、ブラウザを通じていつでもメールメッセージが送受信できることが大きい。また、ブラウザ上で読み書きしたメールは、一般的なクライアントソフトを利用する場合のようにクライアント側のディスク上には残らないため、セキュリティ面でもメリットがある。