そう、Windows Vistaには「クイック検索」機能がある。しかし、Windows XPでは同様の機能を利用できる「Windowsデスクトップサーチ(WDS)」がサポートされている。そこで今回はDeb Shinderが、無償でダウンロードできるWDSの入手とインストールの方法について解説するとともに、XPに標準搭載されている検索エンジンを用いるよりもはるかに迅速にファイルを見つけ出すための利用方法を紹介する。
Windows Vistaの優れた新機能の1つに、機能の強化された「クイック検索」がある。「スタート」メニューにある検索フィールドにキーワードを入力するだけで、ドキュメントや電子メールのメッセージ、写真に加えて、プログラムも迅速に見つけ出すことができる。クイック検索は、ユーザーがファイルにアクセスする方法を変革するものである。そのため、多くのユーザーがこれまで使ってきたファイルシステムの階層をたどっていく方法を捨てて、検索バー(これはVistaのWindowsエクスプローラやその他のウィンドウにも表示される)を使って必要なファイルに直接アクセスする方法を選ぶようになってきている。
しかし、今すぐVistaへとアップグレードするのが難しいユーザーはどうすればよいのだろうか?例えば、Vistaでは動作しないレガシーアプリケーションを抱えていたり、持っているハードウェアがVistaに対応していなかったりする場合もあるだろう。そういった場合でも、Microsoftのサイトから無償でダウンロードできる「Windowsデスクトップサーチ(WDS)」をインストールすれば、Windows XPどころかWindows 2000でもVistaとよく似た検索機能を手に入れることができるのだ。
そこで今回はWDSを取り上げて、その入手とインストールの方法とともに、XPに搭載されている検索エンジンを使うよりもはるかに迅速にファイルを見つけ出せる利用方法を紹介する。また、Vistaのクイック検索機能に見劣りしない点も解説している。
いまなぜ検索がそこまで重視されるのか
大容量ハードディスクの低価格化が進んだことで、個人ユーザーが数百Gバイトもの情報を自身のPCに保存しておくことが可能になった。現代の個人ユーザーは、20年前には企業やデータセンターの設備だったような大きなディスク容量を容易に保有できるようになっているのだ。
しかし、膨大な量の情報を手にすると、情報が必要になったときにそれをいかにして見つけ出すかが問題になってくる。
ユーザーがファイルを作成してから次にそのファイルを必要とするのは数週間、いや数カ月後になるかもしれない。そのころには、ユーザーはそのファイルの名前や保存先ディレクトリ名を忘れてしまっているかもしれない。また、元々のファイル作成者ではなく、ファイル名も知らないユーザーがそのファイルにアクセスする必要に迫られるかもしれない。このため、ユーザーにはファイル名ではなく、ファイル内のキーワードやファイル作成者といった条件で情報を見つけ出すための機能が必要なのである。また、電子メールのメッセージやカレンダー情報も含めたさまざまな形式のファイルを検索できる機能も必要である。しかし、こういった機能だけではなく、検索結果を絞り込むためにフィルタリングや並べ替えをして、検索をより迅速に行う必要もある。
デスクトップ検索台頭の背景
インターネットの成長とともに業績を伸ばしてきた大手企業の中にGoogleやYahooのような検索エンジンを開発した企業が含まれていることは偶然ではない。ウェブは、効率的な検索ツールなくしては活用することがほぼ不可能な、膨大な量の情報の集合体なのである。
数年前まで、ローカル検索やデスクトップ検索--ユーザー個人のハードディスクに保存されている情報を見つけ出す機能--が注目を集めることはなかった。しかし今では、ソフトウェア企業がデスクトップ検索市場で熾烈な争いを繰り広げている。MicrosoftやGoogle、Yahooといった知名度の高い「大企業」だけではなく、Copernicなどの企業も評判の良いデスクトップ検索エンジンを提供している。
Windowsデスクトップサーチ(WDS)の進化
WDSの前身は、「MSNツールバー」の一部として2004年にリリースされた「MSNデスクトップサーチ」だ。その他のデスクトップ検索アプリケーションと同様、MSNデスクトップサーチはハードディスクの内容からインデックスを作成していた。ただし、「Googleデスクトップ」とは異なり、ユーザーのアクセスしたウェブサイトはインデックス対象範囲ではなく、Googleがインデックスを作成していなかった写真や楽曲、Outlookの電子メール添付ファイルなどのインデックスを作成していた。
WDSはMSNデスクトップサーチから発展したものである。Windows XP Service Pack 2(SP2)で利用可能なWDSの最新バージョンは3.01である。また、Windows 2000 Service Pack 4(SP4)で利用可能なバージョンは2.6.6である。あなたがWindows XPを利用しているものの、Service Pack 1しか適用していないか、サービスパックをいっさい適用していない場合、MicrosoftはSP2へのアップグレードか、WDS 2.6.6の利用(サポートしているのはOffice 2000/XP/2003)を推奨している。後者の推奨に関していえば、わたしはSP2未適用のマシンを持ち合わせていなかったため、SP2未適用マシンへのWDS 3.01のインストールが本当に不可能かどうかをテストできなかった。とはいえ、MicrosoftがSP2未適用のマシンにおけるWDS 3.01の利用をサポートしていないことは明らかである。なお、WDS 3.01はWindows Server 2003あるいはWindows XP 64ビット版を搭載したコンピュータにもインストール可能である。
Microsoft Outlook 2007には、Outlook内の電子メールを検索するクイック検索が組み込まれている。使用しているOutlookがこれ以前のバージョンのものであるならば、WDSとあわせて「Windows Live Toolbar」をインストールすることができる。
WDS 3.01はデフォルトでは、My Documentsフォルダやそのサブフォルダの中身、OutlookやOutlook Expressの電子メールメッセージ、カレンダーの予定、連絡先、タスク(ローカルの.PSTファイルあるいはExchangeサーバ上に格納されている)のインデックスを作成するようになっている。管理者はGroup Policyを用いることで、ハードディスク上の特定フォルダやファイル共有の内容のインデックスが作成されるようにWDSを設定できる。また、インデックスはPC上のデータに変更が加えられたときに更新されるようになっているが、他のプログラムの実行速度に影響を与えることのないよう、PCがアイドル状態になるのを待ってから更新されるよう設定することもできる。
インデックスが作成されたデータはWDSのカタログ内に格納され、このカタログにはインデックスの作成されたアイテムのプロパティやコンテンツが保持される。WDSのスキーマには200以上のプロパティが登録されている。その一覧についてはこちらを参照してほしい。