クラウドコンピューティングを「正しく」消費する方法は何なのだろうか。この問題については、絶えず白熱した議論が展開されている。パブリッククラウドプロバイダーは、データセンターを捨てて、ネットワーク経由で提供される従量課金制サービスを採用するよう勧めている。ハードウェアベンダーの多くは、企業のクラウドコンピューティングへの移行はプライベートクラウドの運用を通して実現されると主張している。また、クラウドという概念自体が虚構だと言い張る者もいる。
どの主張に共感を覚えるだろうか。これからの3年、5年、さらには10年にわたって、ITリソースの導入と運用をどのように計画すべきだろうか。どの主張に将来を委ねればいいのだろうか。
その答えは、部分的に考えると、あなたがどういう人間なのか、ITの提供や消費における役割、そして、データ消失に対する敏感さや規制要件、IT組織の成熟度など、よく知られた要因によって多少は変わってくるだろう。
しかし、既存のIT投資がある場合、あるいは今日のクラウドコンピューティングテクノロジやビジネスモデルの限界を超えた要件がある場合は、何も選択しないことを検討すべきだと思う。
筆者の主張は単純な事実から始まる。それは、クラウドコンピューティングには変動する要素が非常に多いため、クラウドコンピューティングへの移行が実際に行われたとしても、それがどのように行われるのかは誰にも予測できないということだ(筆者は、ゆっくりとではあるが不可避の変化がITに起こり、最終的にはパブリッククラウドサービスに支配されるようになるという確信を抱いている)。
パブリッククラウドプロバイダーの主張が正しくて、ITに関するすべてがある時点でパブリックユーティリティになるのだとしたら、今後10〜20年の変遷を予測するのは不可能に近い。
ベンダーの主張が正しくて、顧客企業がミッションクリティカルシステムをパブリッククラウドへ移行させる方法を理解する前に、既存の施設にクラウドを導入しなければならないのだとしたら、それをいつ、どのように行うかということ自体が複雑な問題になり、その答えは各々のビジネス要件によって変わってくるだろう。
「クラウドは一時的な流行である」と主張する人々が正しいのだとしたら、何らかのクラウド環境を導入することはすべて無駄な投資だということになる。
すべてではないにせよ大半の企業で、実際には従来型のデータセンターとパブリッククラウド、プライベートクラウドの環境を組み合わせたものに落ち着く可能性が濃厚だ。「ハイブリッドITトライアングル」内のどこかに入ると考えてほしい。
では、実際にどうするのか。現代的なIT組織が正式に慣習を改めて、運用モデルの不確かな将来に柔軟に対応できるようになるには、どうすればいいのだろうか。
CNET Japan 特別企画 -PR-
ITジャーナリスト佐々木俊尚氏と日立のキーパーソンが語る!
2010年企業クラウド元年 ビジネスニーズが企業のクラウド化を加速する