第9回 政府のEAガイドラインはどのように改定されたか?

相原 慎哉(みずほ情報総研) 2005年06月07日 08時38分

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 EAへの取り組みを助ける「EAフレームワーク」には様々なものがある。特に米国では多くのフレームワークが公表されている。とはいえ、これらは全て英語で書かれていることもあり、国内で最も有名なものは、日本政府による「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)」であろう。

 この政府ガイドラインが一般に入手できるようになったのは、2004年2月に公表された第2版からであり、2004年11月には第3版が公表された。1年以内という比較的短期でのアップデートとなったわけであるが、これには非常に重要な理由があった。

●政府のEA推進状況

 まずは、政府のEAへの取り組み状況について簡単に紹介しておこう。各府省は2005年度末までのできる限り早期にEA(政府では「業務・システム最適化計画」と呼ぶ)を策定することを義務付けられており、昨年度から今年度にかけて作業が本格化している状況である。「人事・給与等業務・システム」、「物品調達、物品管理、謝金・諸手当、補助金及び旅費の各業務・システム」など、対象業務・システムのうちのいくつかについては、既に計画が策定され、公表もされている。

 こうした作業が進む中で、政府ガイドラインの問題点も明らかになって来た。最大の問題点とされたのは「EAを策定してもシステムが作れない」、より正確にいえば「提案依頼書(RFP)が作れずに、そのままではベンダーへの発注が行えない」というものである。

 政府ガイドラインは、もともと個別のシステムを作るための仕様書を作成する手法ではない。業務やシステムの実態を明らかにし、理想の姿を描くことで、そこに近づけていくための指針を作ろうとしているのであって、どちらかといえば、情報化の戦略策定、情報化の計画策定に近いレベルの作業を行うための手法である。多くの作業は業務の分析とその中で取り扱われるデータの分析であり、それが実際にどのような技術や手段を使って実現されるかについてはほとんど踏み込まない。

●システム開発につなげるためには何が必要か

 政府ガイドラインの第3版では、「別添4」として「業務・システムの最適化の実施に伴う留意事項」という項目が追加された。細部の修正はほかにもあるものの、大きな変化はこの追加だけである。このためだけにアップデートが行われたといっても間違いではない。

 このパートでは、「EAを策定してもシステムが作れない」という問題を解決するために、最適化計画(EAの成果)をベースに、仕様書、提案依頼書を作っていくためのチェックポイントや作成すべき図表が紹介されている。こうした書類の中に書き表される情報の多くは、EA各層のモデルから直接読み取れるものではないので、新たに収集することが必要である。

 EAの直接の目的は必ずしもシステムを開発することではなく、その前段階、すなわち業務やシステムの最適化計画を立案することである。とはいえ、それが実際の業務改革やシステム構築に結びつかないのでは全く意味を成さない。EAを全体計画とすれば、それぞれのシステム構築は個別計画である。全体計画と個別計画が上手く連動して進められることが重要である。

 海外のガイドラインの中には、この点に触れているものもあったが、以前の政府ガイドラインではその部分は対象外とされていた。実作業が進む中で、この点に踏み込む必要に迫られたのが、今回のアップデートの理由である。EAへの取り組みを進めるにあたっては、EAそのものを考えるだけでは作業がスムーズに進まない。見落としてはならない重要なポイントがあらためて確認されたといえるだろう。

(みずほ情報総研 EAソリューションセンター 相原 慎哉)

※本稿は、みずほ情報総研が2005年1月25日に発表したものです。

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