Analyticsの時代は誰もが企業の日々の業績を追跡できる--米SAP Labs, LLCに聞く

日川佳三(編集部) 2005年07月06日 20時41分

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 現場の実務担当者が、業務システムから必要なデータをリアルタイムに抽出して、日々の意思決定に役立てる--。独SAPが提唱する業務の新たなフェーズ「Analytics」の姿である。7月7日から東京国際フォーラムで開催するカンファレンス「SAPPHIRE '05」に合わせて来日した米SAP Labs, LLCの製品マーケティング副社長であるローマン・ブカリー(Roman Bukary)氏に、Analyticsの意義を聞いた。

--Analyticsは、経営層の戦略立案だけでなく、実務担当者による自律的な意思決定を助ける。こうしたニーズは高いのか。

米SAP Labs, LLCの製品マーケティング副社長であるローマン・ブカリー(Roman Bukary)氏

 業務のフェーズはAnaryticsへと進化したが、既存の価値観に沿っている。「ビジネスを賢く運営すること」がその目的であり、従来から何も変わらない。経営トップが戦略を設定し、現場が実行し、マネージャがモニタリングする。Anaryticsは、この理想的なライフライクルをより円滑に回すためにある。

 従来は、経営者だけがビジネスの姿を把握していた。現場で働く人は、企業の状況を把握できていなかった。そもそも役割が違う人は、それぞれ異なる情報システムを利用しており、共通項が少なかった。分かりやすい例を言うと、欧州、米国、日本の担当者が会議をすると、それぞれバラバラのスプレッド・シートを持ち寄ってくるため、議論が噛み合わないだろう。

 今後の企業は、異なる立場の人が同一の情報システムにアクセスするようになる。Anaryticsの導入によってビジネスのやり方を変えるようになるということだ。CEO(Chif Executive Officer、最高経営責任者)から現場までが、業務プロセスを可視化する単一のビューを用いて、企業の業績を把握するようになるだろう。

 CEOが定めた戦略に沿って売上げを向上させるためには、現場が自律的に行動する必要がある。目標を達成するためには、細かい部分は自律的に動かなければならない。分かりやすい例で言うと、営業担当者は商品のディスカウントのオファーを受けたら、割引のアクションを取るかとらないか、どれだけ割引すればよいかを自分で判断する必要がある。

--Analyticsで実務担当者が業績データを役立てられるようになるが、実務担当者専用システムではなく経営層も利用する単一のシステムとなる。だが、経営者が戦略設定のために使うツールは従来からあった。

 その通りだ。これまで業務のフェーズは、DSS(Decision Support System、意思決定支援システム)、EIS(Exective Information System、エグゼクティブ情報システム)、BI(Business Intelligence)、CPM(Corporate Performance Management、企業業績管理)、そしてAnaryticsと移行してきた。我々の業界は、こぞってこうした概念を提供し続けてきた。この結果はと言えば、ビジネスに携わる人を混乱させてきただけだ。

 だが、大切なことは、こうした概念と概念を実現するツールが持っていた目的はたった1つである、ということなのだ。決して別の目的を持ったツールではないのだ。本質は単純明快だ。「日々の業績を追跡できるようにする」。たったこれだけのことなのだ。より進化した概念を実現できるよう、ツールの機能を向上させてきたということだ。

 Anaryticsを実現する情報システムは、EAI(アプリケーション統合)ツール群であるSAP NetWeaverをベースとした複合型のアプリケーションだ。TOPが決めた戦略に対するアクションを追跡する、このループを閉じた環境の中で完結させる。この新しいビジネスのやり方を現在、企業に提案している。

 NetWeaverは色々な機能を持っている。世の中をAnaryticsの時代へ変えるために注力したのは、NetWeaverが持つ多くの能力を、より簡単にビルディング・ブロックとして活用できるようにすることだ。このための方策の1つとして、提携企業である米MacromediaのFlashやFlexといった技術を用いた「Visual Composer」を用意した。ポータル上で稼動する業務アプリケーションを誰もが簡単にデザインできるツールだ。

 Visual Composerはアプリケーション開発の世界にニュー・フロンティアをもたらした。コーディングなどの難しい作業をすることなく、業務を一番良く知っている現場の実務担当者がビルディング・ブロックを組み合わせるだけで、自分に必要な情報を扱えるようになる。Anaryticsの時代である現在は、現場のエンドユーザーが自分に必要なアプリケーションを自分で作る時代なのだ。

--今後のSAPの進化の姿を教えて欲しい。

 30年の経験をベースに、顧客企業がビジネス・プロセスをもっと容易に拡張できるようにする。ビジネス・プロセス、ビジネスのやり方そのものが、今現在よりもスマートに、ダイナミックに、革新的にならなければならない。これをSAPでは「Inovation Powered By IT」と呼んでいる。顧客ごとにベスト・プラクティスは異なる。SAPは、顧客みずからがベストなIT活用ができるよう、手伝いをする。

 トヨタ自動車や米DELLや米Wal-Mart Storesといった優良企業がある。彼らは決して他社と異なるビジネスをしているわけではない。では一体何が異なるかと言えば、自社のビジネスをよく理解しているということだ。ビジネス・プロセスを熟知しており、ビジネス・プロセスを変革する能力を持っているのだ。このようなことを実現できるように、SAPは企業を手伝いたいのだ。

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