BI企業からパフォーマンス・マネージメント企業へ--設立30周年でさらに進化するSAS

山下竜大(編集部) 2006年05月17日 13時26分

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 SAS Instituteは5月16日〜18日の3日間、スイスのジュネーブにおいて同社のユーザーカンファレンス「SAS Forum International Geneva 2006」(SFI 2006)を開催。140を超えるユーザー事例やテクニカルなセッション、および48社のパートナー企業が出展する展示会場などで構成される同イベントには世界58カ国から2500人以上が来場する。

 SFI 2006初日の16日、夕刻に行われた基調講演には、SASの最高経営責任者(CEO)であるJim Goodnight氏やSAS International社長であるArt Cooke氏らが登場し、SASがEIP(Enterprise Intelligence Platform)ソリューションを提供する企業であることはもちろん、パフォーマンス・マネージメント・ソリューションも提供できる企業へと、さらなる進化を遂げたことを発表した。

SASのCEOであるグッドナイト氏 SASの最高経営責任者(CEO)、Jim Goodnight氏。

 1976年に設立されたSASは、今年で30周年を迎えた。Goodnight氏を中心に7名でスタートした同社は、現在では51カ国に424のオフィスを持つ1万人を超える社員を抱える企業へと成長した。設立から29年間、増収増益を続けており、2005年の売り上げは16億8000万ドル。顧客満足度の向上を目的に、売り上げの25%を研究開発(R&D)に費やしており、フォーチュン500の上位100社のうち96社を含む4万サイトで採用されている。

 これまでSASでは、次世代ビジネス・インテリジェンス(BI)戦略である「Beyond BI」を提唱し、その実現に向けたソリューションを提供してきた。このBeyond BIを具現化する企業情報基盤となるのが、2004年3月に発表されたソフトウェア基盤「SAS 9」を中核に、「Data Integration」「Intelligence Storage」「Analytic Intelligence」「Business Intelligence」という、データ統合とETL(抽出/変換/ロード)から分析や予測に至る機能を一気通貫で実現するEIPだ。

 SASの強みとは、単なるBIソリューションを提供するだけではなく、EIPという統合されたインフラ上に、科学的根拠に基づいた戦略的な意思決定を支援できる水平/垂直型のソリューションを提供できること。SASは、BI分野のノウハウはもちろん、統計解析分野においても長い経験を持っており、分析手法に関する数多くのノウハウも有している。

 Goodnight氏は、「他社のBIは単なるレポーティングソリューションだ。SASは、クエリやレポート、分析までの機能を統合した水平方向のプラットフォームはもちろん、金融、製造、保険、医薬、官庁、教育機関などの業界に特化した垂直方向のソリューションも提供できる。これは非常に大きな差別化になる」と話す。

 これらの水平/垂直型ソリューションをさらに体系化し、より密に統合したソリューションが、SASの新たな提案であるパフォーマンス・マネージメントだ。

SASのパフォーマンスマネージメント構成図 EIPをベースに、Intelligent SolutionおよびIndustry Solutionを統合するSASのパフォーマンス・マネージメント。

 SASがパフォーマンス・マネージメントで目指すものについてGoodnight氏は、「過去の分析から学ぶことはもちろん、今後の予測とそれに対しどのようなアクションが必要なのか、それがどのような結果をもたらすのかをインテリジェンスとして、リアルタイムに導き出すことができる仕組みを提供することだ」と話している。

 Goodnight氏は、SASのパフォーマンス・マネージメントにより、同社のコールセンターが80%以上の問い合わせに1日以内で回答していること、欧州地域での売り上げが伸びていること、社員の多くが15年以上勤務していること、ホームページへのアクセスが70万ページビューを超えたこと、80%以上の顧客がサーベイに対して満足していることなどを、同社の実データによりデモンストレーションして見せた。

 「パフォーマンス・マネージメントにより企業は、変化の激しい現在のビジネス環境において、変化をいち早く予測し、柔軟かつ迅速に対応するための“インテリジェンスな情報”を手に入れることができる」(Goodnight氏)

SASインターナショナル社長のクック氏 SAS International社長、Art Cooke氏。

 一方、Cooke氏は、パフォーマンス・マネージメントの具体的な実現方法について紹介した。

 同氏は、「これまで企業は、会計、人事、販売など、部門ごとにさまざまなシステムを導入してきた。しかしこれらのシステムは、まったく統合されておらず、メンテナンスも複雑で運用コストがかかりすぎていた。そこで登場したのがERPという概念だ。ERPでプロセスは統合できたものの、データやストレージ、分析機能などは相変わらず統合されていなかった。そこでSASが提供したひとつの回答がEIPだった」と話す。

 「さらに企業が変化に迅速にするための情報革命(Information Revolution)を支援するのがパフォーマンス・マネージメントだ。パフォーマンス・マネージメントは、我々が提供するソフトウェアインフラはもちろん、人、プロセス、文化の4つの要因を融合することで実現できる。パフォーマンス・マネージメントによる企業の情報革命は、5つのステップにより実現することができる」とCooke氏は言う。

インフォメーションレボリューションの書籍と5つのステップ SASが発刊した書籍「Information Revolution」とそれを実現する5つのステップ。

 同氏が言う5つのステップとは、まず第1のステップとして「業務レベルでの情報統合(Operate)」の仕組みを実現する。次に第2ステップとして、統合された業務レベルの情報を「部門レベルでの情報統合(Consolidate)」に発展させ、第3ステップとして「全社レベルでの情報統合(Integrate)」を実現する。これによりインテリジェントなBI環境を実現。さらに第4ステップでは、「最適化レベルでの情報統合(Optimize)」を実現し、第5ステップとして「革新的な情報環境(Innovate)」を実現することでパフォーマンス・マネージメントが完成する。

 この詳細は、同社が発刊した書籍「Information Revolution(ISBN:0-471-77072-8)」で紹介されている。同書は単なる読み物ではなく、質問やクイズ、評価シートなどに回答していくことで、情報統合のレベルが現状どの段階にあるかを把握することができる様式になっている。現在は、英語版のみだが日本語版の発刊も計画しているという。

 Cooke氏はさらに、同氏が講演の中で必ず話す「時間」についての重要性も強調した。「スイスは“時間(時計産業で有名)”の街であり、“時間”は非常に重要だ。情報革命においても“時間”は重要で、迅速に実現することが有効になる。SASのソリューションを導入することで、ローデータを意味のあるインテリジェンスな“情報”に変化させるための“時間”を節約させることが可能になる」と話している。

SFI 2006には2500人が来場した SFI 2006には世界58カ国から2500人以上が来場する。
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