ユニファイドコミュニケーションのメリットの2つ目は、「コスト削減」効果だ。ユニファイドコミュニケーションツールには「テレビ会議」機能を備えたものが多く、デスクトップ上で気軽にテレビ会議ができる。アプリケーションの種類によって違うが、ファイル交換機能を搭載したものもあり、テレビ会議中にファイルの交換もできる。実際の会議に限りなく近い環境が作れるので、物理的に1つの部屋に集まる必要がない。当然、出張コストや会議室の予約、会議用書類のコピーの時間など、時間短縮による人件費(コスト)の削減にもつながってくる。
ユニファイドコミュニケーションそもそもの思想は、1人複数台の端末を所有し、複数のアプリケーションを用途に応じて使い分けなければならない現状を打破するところから始まっている。端末数をできるだけ減らし、よりシンプルに使う。最近では、ユニファイドコミュニケーションのソフトをわざわざ立ち上げなくても、業務用アプリケーションからプレゼンス機能を立ち上げ、少ないクリック数でVoIPコールやインスタントメッセージを送れるようなツールも出てきた。
例えば、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーションツール「LCS(Live Communications Server)」は「Microsoft Office」と連動しているため、Excel表内に記入されているユーザー名を直接クリックすることで相手を呼び出すこともできる(Office 2003以降)。Excelで売り上げ管理を行いつつ、その数字が上がっていない理由を担当者に即座に聞き出すといったような使い方が想定される。
なお、ユニファイドコミュニケーションは多くのネットワークベンダーが参戦しており、ノーテルネットワークスもマイクロソフトと戦略的提携のもと販売活動を展開している。
注目が高まるアプリケーションデリバリ
最後に「アプリケーションデリバリ」の動向を簡単に説明する。
アプリケーションデリバリとは、主にアプリケーション層のトラフィックを配信(デリバリ)するテクノロジーで、トラフィック制御を行う「ロードバランサー」が主流であった。しかしながら、SSLの暗号化をサーバの代わりに処理する「SSLアクセラレーション」等が加わり、近年ではWAN(Wide Area Network)間でのファイル交換の高速化を実現する「WAN Area File System(WAFS)」や、http/httpsベースのウェブアプリケーションを高速化する「Application Accelerator」にも注目が集まる。
特にApplication Acceleratorは、近年ウェブアプリケーションがコミュニケーションや企業のマーケティング活動で利用されているほか、ERPやSFA、SCMといった業務用アプリケーションもウェブ化が進んでいることから、ますます注目度が高まると予想される。
以上、7回にわたってお届けした連載も今日で終了だ。「説明が行き届かない!」「つまらない小話(!?)が多すぎる!」など、色々と感想(批評?)はあるかと思うが、読んでくれた読者の皆さんの何かの糧になったなら、これ以上嬉しいことはない。
またいつか、もしかすると近い将来再登場することがあるかもしれないが、その時もまた目を通して頂ければ幸いである。
ありがとうございました。
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お知らせ
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筆者紹介
宮本健一(みやもと けんいち)
ノーテルネットワークス エンタープライズアンドチャネルズ営業本部
エンタープライズマーケティング プロダクトマネジャー
担当製品:
L4-7スイッチ、セキュリティ製品、他
経歴:
1998年某大手通信事業社入社。法人営業、通信機器マーケティングを経て、2005年11月ノーテルネットワークス入社。現職へ。
一言:
Web 2.0、SOA、SaaS等とアプリケーション分野では新たな波が押し寄せており、それを支えるネットワーク分野も革新が行われています。新たなテクノロジーによる、新たなマーケットの創造を考えつつ、自分の知らない世界(分野)については、こっそりと「超基礎」コーナーから勉強する。そんな日々のギャップを密かに楽しんでいる今日この頃です。