Notes/Dominoの間隙をつくMSの戦略――企業のコラボレーション基盤を考える(3)

富永康信(ロビンソン) 2008年08月22日 14時00分

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 今回からしばらくは、ユーザーが「Notes/Dominoを止める決断」をするにあたっての動機や、他のベンダーやSIerがどのようにNotes/Dominoの特長や弱点を分析し、ユーザーへの提案、サポートを行おうとしているのかを見ていく。

不安要素は「サポート切れ」と「管理の煩雑さ」

 古くからNotes/Dominoを使い続けてきたユーザーが近年感じている不安要素をまとめると、主に次のようなものだ。

 1つはサポート面での不安だ。Notes/Dominoの最新バージョンは出荷を間近に控えた8.0.2となるが、IBMは過去5年間に4回のバージョンアップを行っており、既に2007年4月末時点でバージョン6までのサポートが打ち切られた。バージョン4や5からNotesを使い始め、IBMの提示するサポートサイクルに合わせる形でのバージョンアップを逸してしまっているユーザーも、日本ではいまだに数多く存在する。こうしたユーザーにとっては、5年後、10年後のシステム保有コストの見通しが立てにくくなっているという現状がある。

 2つ目は、増殖したノーツデータベース(Notes DB)の管理だ。Notesがデビューした際、その画期的なコンセプトのひとつは、クライアントに開発環境が含まれており、平易なスクリプト言語でアプリケーションを構築できるEUC(エンドユーザーコンピューティング)を実現している点だった。しかし、その結果として、管理者が全容を把握できない規模でDBが乱立し、情報がバラバラに格納されていった。DBを横断した包括的な情報検索もままならない状態で、変化の激しいビジネスへの対応が難しくなっている。

 3つ目は、システム全体で考えた場合のアカウント管理の煩雑さである。Notes/Dominoの場合、ユーザー認証などは独自のDominoディレクトリベースで管理されるため、その結果、Windowsプラットフォーム上で利用されるActive DirectoryとDominoディレクトリの二重管理が管理者の負担となっているケースが多い。

 その他、Notes/Domino独自のスキルが必要とされることによる運用管理コストの増大や、モバイル環境への対応なども課題となっている。

共存か置き換えか、移行もさまざま

 そうした状況において、自社技術による「Notesマイグレーション」を強力にアピールするベンダーの急先鋒(せんぽう)がマイクロソフトだ。同社のNotes環境ステップアップソリューションでは、ウィザードを備えたNotes移行ツールを数多く用意するほか、Notes移行支援サイトを用意してパートナー企業やSI業者を後押しし、Notesユーザーのマイクロソフトプラットフォームへの誘導に力を入れる。

 具体的には、Dominoディレクトリは「Active Directory」に、Notesのメールボックス/ローカルアーカイブ/個人アドレス帳などのメール環境は「Exchange Server」に、そしてNotesアプリケーションは「Microsoft Office SharePoint Server」(以下、MOSS)にといった形での移行を推奨する。

 しかし、比較的短期間で移行が完了するメッセージング環境に対し、コラボレーション環境の移行にあたっては、Notesアプリケーションの作り込み具合によって、移行の難易度が大きく変わってくるという問題もある。特に全社規模で共通して利用しているコラボレーション環境は非常に重要なインフラとなっており、その環境を変更するにあたっては、細心の注意が必要となる。場合によっては、業務の流れ自体を滞らせ、企業全体の生産性を下げる結果にもなりかねない。

 そのため、マイクロソフトでは現在のNotes/Domino環境を生かしたまま、検索やワークスペースの機能強化といった「共存」のシナリオを選択するか、あるいは社内に散在するアプリケーションを作り直して集中管理を実現する「移行」シナリオを目指すかは、企業が何をどこまで求めるかを吟味しながらゴール設定を考えるべきだとしている。

groupware3-01 マイクロソフトが提案するNotes/DominoからExchange+SharePointへの移行イメージ

Notesマイグレーションはきっかけのひとつ

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