Office 2010ベータ版公開--その第一印象は? - (page 2)

文:Simon Bisson(ZDNet UK) 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-11-27 13:37

アプリケーションの改善

 各アプリケーションについて掘り下げて見ていくと、MicrosoftはOffice 2010に対して、Windows 7と同じアプローチを取っていること明白であり、できるだけ早く機能を完成させ、その後ベータ版のサイクルを使って物事を調整したり、バグを取ろうとしているようだ。従って、テクニカルプレビュー版とベータ版の間には、機能面では大きな違いは見られない。われわれは、2つの大きなバグが修正されているのを見つけた。Outlook 2007で複数のExchangeアカウントに接続する際に、ログイン手順を複数回行う必要がなくなったことと、UNCファイル共有がインターネットから開かれているように扱われることはなくなったということだ。

 テクニカルプレビュー版では、Office 2010のセキュリティを向上させるために設計された新たな技術をいくつか導入していた。ハッカーは基盤となっているOSではなくアプリケーションを狙うことが多くなっており、Officeチームは脅威モデリングとファジングのテクニックを用いて、Officeアプリケーションの攻撃対象面を強化し、個々の攻撃に(小さなアップデートとして個別の緩和策を提供することによって)素早く対処できるようにしている。もっとも目立つセキュリティ機能は「Protected View」で、これはインターネットから(あるいは単に社外から)ダウンロードされたものであることが検知された文書を、ネットワークやその他のシステムリソースに対するアクセスを持たない分離されたプロセスで、サンドボックス化された閲覧のみのモードで開く機能だ。すべてのドキュメントタイプが攻撃の対象となりうることから、Protected Viewはすべてのドキュメントタイプに適用される。

 テクニカルプレビュー版のこの機能にはいくつかの問題があり、これには、あるUNC名がインターネットなのかイントラネットなのかをWindowsが判別する方法に関するバグも含まれていた。このバグによって、Windowsサーバで共有しているファイルを、安全でないインターネット上の場所だと判別してしまうという問題が生じる可能性があった。この問題はベータ版では修正されており、われわれのテストでもダウンロードされたファイルや電子メールで受け取ったファイルを正しく検出した。しかも、Office 2010がインストールされるずっと前にダウンロードされたファイルについても正しく検出できた。管理オプションから、どのファイルにこの機能を適用するかをグループポリシを用いてコントロールすることもできる。また、ベータ版では文書の中身を検索できるようになっている。Wordの場合、サンドボックス化された文書では、検索ができることがわかるよう、自動的に操作案内のペインが開くようになっている。Protected Viewでは印刷はできないが、Backstageから印刷を有効にすることができる。これは、編集を可能にするのと同じ効果を持つ。つまり、次にその文書を開く際には警告は表示されないが、Backstageを閉じて編集を有効にし、再び開かなくてもよいようになっている。

協調作業と接続:SharePoint 2010とOffice

 Microsoftはテクニカルプレビュー版とベータ版の間に多くの微調整を行ったが、最大の違いはSharePoint 2010が登場したことだろう。WordやOneNote Web Appsの編集をすることで、Officeに新しく導入された協調作業に関する機能についての実験を行うことができる。これらの機能は動きはするが、まだ多くの問題がある。われわれはMicrosoftがなぜ、ExcelとOneNoteで共同執筆された部分にマークを付けなかったのかを理解できないし、OneNoteからサーバなしで簡単に文書を共同執筆することを可能にしていたピア・ツー・ピアファイル共有ツールを削ってしまった理由もわからない。現時点では、Office 2010はMicrosoftが共同執筆について提供すると約束していたものを提供できておらず、実際に使えるようになるのはずっと先のことのように見える。

 もし業務の中でOfficeを使ってユーザー同士を繋いでいるのであれば、SharePoint 2010の「Business Connectivity Service」を便利だと思うに違いない。これは、アプリケーションやデータベースを、OutlookやAccessといったプログラムとリンクさせてくれる機能だ。Excel 2010を用いた詳細な分析を必要としないパワーユーザーは、Access 2010の基本的なビジネスインテリジェンスツールを重宝するだろう。もしExcelで大量のデータを処理する必要があるのなら、新しく提供されたPowerPivotプラグイン(SharePoint 2010のサーバーサイドプラグインもある)を使うことで、大量のデータを扱い、より分ける作業が容易になる。

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