もちろん、取扱説明書をつけ、それを読んでもらえばいいわけだが、それでは、スマートデバイスのUI設計としてはとても残念な状況である。こうしたスマートデバイスは、取扱説明書がなくても直感的に操作できるUI設計が成功のカギとなり、利用率を底上げし、導入効果を分析しやすくなる。
冒頭で述べてきたように、スマートデバイスは先駆的な企業のケースが示すように、非常に便利なツールであり、さまざまな経営効果をあげることは間違いない。ただし、そこにはユーザー企業からの質問で例示したように、いくつかの落とし穴がある。その落とし穴に陥らないよう、導入前には以下の3点に留意頂くことを強くお勧めしたい。
【スマートデバイス導入前のチェック項目】
To-Do1:グランドデザインの設計
- スマートデバイスを導入して何を実現したいのか定義できているか?
- スマートデバイスを導入すると「何が」、「どう」変わるのか定義できているか? (どんな働き方になるのか?)
- 経営にはどんな効果がでるのかKPIを定義できているか?
To-Do2:ロードマップの設計
- 何をいつまでに実現するべきなのか?(必ずしも一度に、すべてやる必要はない)
- 「どの機能」を「いつ」リリースするのか?
- 段階リリースの予定があればスケジュールを可視化しているか?
To-Do3:ペルソナデザイン
- どんな人が使うのか定義できているか?
- 年齢、性別、ライフスタイル、性格、リテラシーなどを決定した上で、利用時 のシーンを具体的な物語として定義できているか
次回は、スマートデバイス導入における落とし穴(下)と題して、私物端末の業務利用(BYOD)導入を含め、スマートデバイス導入によって変わるワークスタイルについて言及し、検討しておくべきポイントを解説する。
- 千葉 友範
- デロイト トーマツ コンサルティング マネージャー 大学院在籍中にIT系ベンチャー設立に参画を経て現在に至る。業務改革プロジェクトを中心に実施し、近年では、デジタルデバイスを活用したワークスタイルチェンジや販売力強化など、戦略策定から実行支援までプロジェクトを多数実施。「会社で使う タブレット・スマートフォン2013」など執筆多数。
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