大木豊成「Apple法人ユースの取説」

限界があるからいい--iPadが企業で使われる本当の理由 - (page 3)

大木豊成

2015-06-19 07:00

ウェディング業界はiPadで魅せる

 ウェディング事業を展開するノバレーゼも、早くからiPadを導入している。同社では、写真のように、顧客である新婦にドレスを見せる際にiPadを活用している。


ノバレーゼでは新郎新婦にレンタルドレスを見せる際にiPadを活用

 顧客にドレスを選んでもらう手順は、まず、大画面モニタのある応接間でドレスをいくつか見せて、候補を選んでもらう。次に、ドレス室に案内して実際のドレスを見てもらう――という流れだ。この流れが、iPadを活用するようになって変わった。

 ウェディングドレスは足下が隠れるほど丈が長いので、2mほどのハンガーにかかっている。スタッフがそれを取る際に、iPadを新婦に渡す。それを始めてから、以前はドレスを選ぶ際に、所在なさげにしていた新郎が積極的にドレス選びに参加するようになった。新婦がドレス本体を見ている間も、新郎がiPadでドレスを見ている。動画も入っているので、他のドレスも見るようになったのだ。

アップセルのツールとしてのiPad

 レンタルドレスを利用する夫婦は、予算の上限を決めていることが多い。応接間でお色直しのドレスを選ぶ際も、予算から選ぶことが多いそうだ。

 その後、ドレス室に入ると、ほかに気に入ったドレスも目に入ってくる。その際に、iPadで先ほどは見ていなかったドレスの着用写真や動画を見ることで「やっぱりこれもいいね」という会話が交わされるようになる。結果的に、予算を少しオーバーしてでも、一生に一度のイベントのために、気に入ったドレスをレンタルしていくようになったのだ。何人もの新婦が予算以上のレンタルドレスを借りていくことで、簡単にiPad導入のコストを賄うことができた。

全国に飛び回るテクノブラッドもiPadで魅せる

 ネットカフェへのコンテンツソリューション配給を行うテクノブラッドでは、iPad発売当初から、全営業担当がiPadを片手に全国を飛び回っている。今までは紙で渡していた資料をすべてiPadに取り込んで、iPadでプレゼンしている。


テクノブラッドは全営業担当がiPadを持って全国を飛び回る

 同社は、全国のネットカフェと取引があり、出張にはパンフレットや説明資料など、多くの紙の資料を持ち歩いていたのだが、iPad登場以降はiPad内にデータで保存し、それを見せることで済んでしまう。紙が必要な場合も、そのぶんだけの資料を持参すればいいし、説明後に郵送することも可能になる。つまり、営業担当の負荷が一気に軽くなり、機動力が格段に上がったのだ。

 また、今回の出張の目的ではなかった資料も持ち歩いているので、新規事業など本題とは違う話題になっても、すぐに資料を見せることが可能になった。他店で好評だったネットカフェ内のディスプレイの様子を写真に撮っておき、事例として紹介することも手軽にできる。営業担当にとっても、スタイリッシュに仕事ができることでモチベーションアップにつながっている。

 スタイリッシュに、かっこよく仕事ができることはとても大事なことなのだ。最近のタブレット導入事例には、SurfaceなどのWindows PCも混じってきているが、これらの事例を見ていただくと、iPadとSurfaceでは、活躍する場面がまったく異なることが分かると思う。企業の中で最も大きなコストは人件費だ。その人件費を最大限に活用するために、こういったツールが存在する。安易に「PCと兼用できるから」とWindows PCを選択してしまうことをせず、きちんと自社に見合った導入をおすすめしたい。

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