CEATEC JAPAN 2016

リアルタイム性が重要になってくる--NEC遠藤社長がCEATECで語ったICTの力 - (page 3)

大河原克行

2015-10-08 16:09

 アルゼンチンのティグレ市では、街中監視システムを導入し、バイクにノーヘルメットで乗車しているライダーを検知して、その場所の近くにいる警察官に通報し、ヘルメット着用を指示することで大きな事故にならないようにしているという。

 「バイクの2人乗りによるひったくり犯罪が多いということを背景にバイクの2人乗りを検知するとリアルタイムでそれを理解して、その近くにいる警察官に通報して、注意するといったことも行っている。これにより、関連する事件が40%も減少した。レベルの高い安全性を提供できる」

 豊島区では、総合防災システムとして、池袋駅前などの人の流れを1人ずつ認識。人がどちらの方向に流れているのか、どのぐらいの人が道路を埋めているのかといったことを判断し、異常混雑時や滞留状況を把握しているという。「人が一瞬に外に散らばったという行動を認識した場合には、そこで何かが起きて、人々が逃げ出したということもわかる。これも、人の行動というデータから価値のある情報として見える化したものになる」

 中国電力には原子力発電プラント監視システムを納入。3500個のセンサから1秒間に30万~40万件のデータを収集し、いつもと違う異常な動きを発見し、予兆を監視する例を紹介した。「複数のデータを組み合わせることで6~7時間前に異常がわかるようになった。個々のデータの変化だけを捉えると30分前に発見できるという状況から進化させることができた。これは、工場の生産ラインでも使うことができる仕組みである」

中国電力の原子力発電プラント監視システムは1秒間に30万~40万件のデータを収集している
中国電力の原子力発電プラント監視システムは1秒間に30万~40万件のデータを収集している

 IoT時代として、センサから発信されるデータの正確性を検知するソリューションを提供していることにも触れ、センサから出てくるデータのなりすましをなくすことで安全なサイバー空間を構築できるようになるとした。

 遠藤氏は、「IoTの活用は、ひとつの国や企業だけで完結できるものではない。そのため、インターフェースを標準化して、ほかの国や企業とプロセスをあわせるといったことが必要。すでにドイツや米国では、そうした取り組みが始まっており、日本もそれに参加することが必要である」とIoTの現状を分析した。

 「この取り組みは、CIAJの役割として捉える必要もある。日本では、IoT時代を担う優れたICT人材を確保、育成することも必要である。日本の情報系の大学生の比率はわずか1.2%であり、ほかの国に比べて圧倒的に少ない。これは中学、高校の段階から努力することが必要。政府と一緒になって教育のありようを考えていきたい。今後は、IoTなしの生活はありえない。これは事実である。IoT、ビッグテータ、クラウドを使い切ることが大切である。IoTを活用することで、豊かな人間社会の実現に貢献したい」と語り、講演を締めくくった。

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