6割のCEOは技術革新のスピードに懸念--PwC調査

NO BUDGET

2016-01-21 07:00

 PwC(プライスウォーターハウスクーパース)は1月20日、全世界のCEO(最高経営責任者)に対する意識調査の結果を発表した。2014年10~12月の調査では世界経済の成長が今後12カ月間に改善すると考えるCEOは2013年の調査より減少した一方、自社の売上拡大に対する自信に変化はないという結果が出た。また、デジタル時代への対応に関連して、技術革新のスピードに懸念を感じるCEOの割合が増加した。

世界経済の見通し

 世界経済の成長見通しについての設問では、CEOは1年前ほど事態を楽観視していないという結果になった。2015年に世界経済が改善すると回答した割合は全体の37%となり、2013年の調査の44%から減少。一方、世界経済の成長が鈍化するとみているCEOは17%で、この割合は2013年の調査(7%)の2倍以上となった。44%は、経済状況は概ね横ばいで推移すると予想している。

 この見通しを地域別にみると、大きな差が出ている。最も楽観的にみているのはアジア太平洋で、CEOの45%が世界経済の改善を見込んだ。その次に楽観的なのは中東(44%)と北米(37%)。対照的に中欧と東欧のCEOは、経済の改善を見込む割合がわずか16%だった。インド(59%)、中国(46%)、メキシコ(42%)などの新興国のCEOは、米国(29%)、ドイツ(33%)などの先進国のCEOより経済について楽観的だった。

今後の売り上げの見込み

 世界経済全般は減速すると予測しているにもかかわらず、CEOは自社の見通しには引き続き自信を示しているという結果が出た。

 今後12カ月間に自社の売り上げが拡大する見通しについて、CEOの39%が「非常に自信がある」と回答しており、これは2014年と同じ割合で、2013年の36%をやや上回っている。

 この結果を国別でみるとインドのCEOが最も強い自信を示しており、62%が短期的な成長見通しに「非常に自信がある」と回答した。以下、メキシコ(50%)、米国(46%)、オーストラリア(43%)、英国および南アフリカ(39%)、中国(36%)、ドイツ(35%)、ブラジル(30%)と続く。

 逆に自信を示す割合の低かった国は、フランス(23%)、ベネズエラ(22%)、イタリア(20%)、アルゼンチン(17%)。そして最下位のロシアでは、2015年の売上拡大について「非常に自信がある」と回答したCEOの割合は16%にとどまり、2014年には53%と最も高い割合であったことと比べると大幅な減少となった。

成長にとって重要な市場

 「今後12カ月間で自社の成長にとって最も重要な市場」として挙げられたのは米国で、5年前にこの質問を開始して以来、初めて中国を抑えての首位となった。自社が成長するうえで、本拠地以外で最も重要な3カ国はどこかという質問に対して、米国を挙げたCEOは38%で、中国の34%、ドイツの19%、英国の11%、ブラジルの10%を上回った。

デジタル時代への対応

 技術革新のスピードに懸念しているCEOは全体の58%と、2013年調査の47%から増加した。モバイル技術はCEOの81%が自社にとって最も重要と見なしており、以下、データマイニングと分析(80%)、サイバーセキュリティ(78%)、ソーシャル化したビジネスプロセス(61%)、クラウドコンピューティング(60%)と続く。

 また、企業がデジタル技術の恩恵を最も受けている分野として挙げられたのは、業務効率(88%)、データとデータ解析(84%)、顧客体験(77%)だった。

 調査は2014年10~12月に世界77カ国の1322人のCEOにインタビュー形式で実施された。

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