展望2020年のIT企業

企業を元気にするファンド作りに取り組む米ベンチャーキャピタル

田中克己

2018-07-19 07:00

 「元気のない企業を元気にするために、可能性のある技術を見つけて紹介する」。米シリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタル(VC)の米Fenox Venture Capitalのアニス・ウッザマン社長兼CEOは、本社事務所でVCの役割をこう説明する。

 2011年5月に設立したFenoxは、これまで約120社以上のベンチャー企業に投資したという。同社のファンドには、日本企業15社以上も資金提供するなど、日本との関係は深い。アメリカ人のウッザマン氏は、文部科学省の奨学金で東京工業大学を卒業し、オクラホマ州立大学で修士、東京都立大学(現首都大学東京)で博士を取得する。その後、IBMのNY支社に入社し、エンジニア、ビジネス開発、合併吸収などを担当する。

 ウッザマン氏によると、「IBMは昔から合併吸収を基本にしてビジネス開発を行ってきた企業なんだ。現在、AIやビックデータなどでナンバー1になったのは、そうした投資によることも大きい、IBMの最近の元気の秘密は合併吸収だ」と考えている。

 ウッザマン氏がVCを立ち上げたきっかけは、そこにある。「元気のない会社を、どのように元気にさせるかだ」。合併吸収の経験を生かし、可能性のあるベンチャーを見つけて、そこに投資する。いわば企業とベンチャーを組み合わせることだ。そのためにも、さまざまな分野の技術力のあるベンチャーを世界中から発掘する必要がある。「アイデアの7割、8割はシリコンバレーで生まれている」(ウッザマン氏)とし、シリコンバレーに本社を設ける。

 2016年から開催するベンチャービジネス・ピッチコンテストのスタートアップワールドカップもその1つだ。優勝賞金100万ドルの同カップは、予選を世界約30カ国で行ってから、5月にサンフランシスコで決勝イベントを開催する。ちなみに第1回の優勝者は、ロボットやIoTを活用した幼児見守りサービスを開発、提供する日本のユニファだった。

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