デル テクノロジーズ(デルおよびEMCジャパン)は6月28日、米国で5月に開催した「Dell Technologies World」での発表内容から同社のクラウド戦略に関する説明会を開いた。同イベントの説明会は以前にも行っているが、今回はそこでの内容に多少アップデートがあったようだ。
説明を行ったEMCジャパン アドバンスドテクノロジーソリューションズ事業部 クラウドプラットフォームスペシャリストの吉田尚壮氏は、同社のクラウド戦略について「われわれがVMwareのクラウド戦略にアラインする形で一緒に足並みをそろえて、今後クラウドのソリューションを展開していく」と述べた。同社としては、グループ企業であるVMwareのクラウド戦略を全面的に支持し、その戦略に沿った形での製品/サービスを展開していくという方針を明確した形だ。
EMCジャパン アドバンスドテクノロジーソリューションズ事業部 クラウドプラットフォームスペシャリストの吉田尚壮氏
VMwareは、既にAmazon Web Services(AWS)と協業して「VMware Cloud on AWS」を提供しているが、今回のDell Technologies Worldでは、新たにMicrosoft Azureとの協業に基づく「Azure VMware Solution」が発表されたことも大きなトピックになった。
吉田氏は、「AWSとAzureでは“お作法”が異なる」と指摘。さらに、パブリッククラウド間で運用管理手法などにさまざまな違いがある上、エッジやオンプレミス(プライベートクラウド)で主流のVMwareのインフラストラクチャーも、各プライベートクラウドのネイティブ環境とは異なっているとする。その現状を踏まえ、各パブリッククラウドでVMwareのインフラストラクチャーが利用可能になることにより、ユーザー企業としてエッジ、オンプレミス、パブリッククラウドの3つの環境全てで一貫性のあるインフラとオペレーションを実現することが狙いだとした。
製品戦略との関連では、同社のハードウェア製品はVMwareがサポートする唯一の製品というわけではないものの、グループ企業としての強みを生かしてVMware製品のサポートを積極的に推進することで差別化を図るという。
具体的には、VMwareのクラウド戦略の中核を構成する「VMware Cloud Foundation(VCF)」をサポートしているハードウェアベンダーがまだ少ない状況だが、同社ではハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)/コンバージドインフラストラクチャーに加え、“Ready Stack”としてサーバーやネットワークスイッチ、ストレージ製品などのコンポーネントレベルでもVCFのサポートを明確にしていくという。
また、“Data Center as-a-Service”のコンセプトにおける取り組みとして、「VMware Cloud on Dell EMC(通称:Project Dimension)」を紹介した。これはHCI製品「Dell EMC VxRail」にVCFをプリインストールした形で構成される“プライベートクラウドアプライアンス”をマネージドサービスとして提供する。VMwareのサービスに位置付けられ、デル テクノロジーズはハードウェアと関連サービスを提供するパートナーという立場であることが説明された。
この他にAzure VMware Solution関連では、「VMware SDDCインフラをMicrosoft Azureとして提供するサービスと説明されたが、追加情報としてはMicrosoft Azure上に構築されるVMware SDDC環境の構築および運用をパートナー企業が行うと発表された。現在はCloudSimpleが北米で担当しており、2019年後期以降にグループ企業のVirtustreamも同様にサービスを開始するという。
こうした取り組みも、VMwareのクラウド戦略をグループ各社が足並みをそろえてサポートしていく、という方針の具体的な表われだと見てよさそうだ。