業務システム連携に着目するFintech企業--“すき間”を埋める技術を訴求

ZDNET Japan Staff

2019-09-20 06:00

 Fintech開発者支援団体のフィンテックガーデンは9月11日、Fintechシステム開発のコンテスト「フィンテックアワード2019」の受賞企業を発表した。受賞各社が訴求するのは、業務システム連携での“すき間”を埋める技術や機能だ。

 フィンテックガーデンは、Fintechシステムの開発者支援やFintech関連データを共通化するプラットフォームの実現を目指す団体。コンテストは国内企業と個人を対象に、金融組織のデータ活用あるいはシステム連携など幅広いテーマで“作品”を募集。39社が応募した。新規性や実現性、有用性の観点から審査し、アワードとして5社を選出している。

 最優秀のゴールドアワードには、会計情報に特化して人工知能(AI)による画像認識技術を手掛けるファーストアカウンティングが選出された。同社はAPIを提供している。ユーザーが領収書や通帳などの紙文書をOCR(光学文字認識)で画像データ化し、API経由で同社のクラウドサービスに送信するだけで、支払い先や金額、費目といった文書に記載された内容を自動的に分類する。そのデータをCSV形式などで出力して会計システムで管理できる。AIを利用することで認識精度を高めたり、帳票形式の違いなどの点も吸収したりできるほか、RPAと組み合わせた経費精算業務の自動化などの点が評価された。

ゴールドアワードを受賞したファーストアカウンティング
ゴールドアワードを受賞したファーストアカウンティング

 また、入金の消し込み作業に特化したクラウドサービスを展開するアール・アンド・エー・シー(受賞はシルバーアワード)、請求業務自動化サービスのロボットペイメント(同ブロンズアワード)、口座残高や明細の情報の一括管理サービスを手掛けるMiroku Webcash International(同スペシャルジュリーアワード)は、企業の販売管理システムや会計システムなどが連携する業務の“すき間”と位置付けられる部分に対応した機能やサービスが評価された。

 この部分では、取引先への通知や入金確認、消し込みといった定型的かつ膨大な量の業務が手作業で処理されているのが実態だという。販売管理や会計管理のシステムの機能でカバーされるケースもあるが、処理の正確性や情報連携のしやすさといった点では、ユーザーとなる経理担当者のニーズを満たし切れていないとされる。この部分の業務自動化やシステム化に受賞各社の技術が貢献されるとしている。

 ユニークなのは、テクノロジーアワードを受賞したラクーンホールディングス傘下のラクーンフィナンシャル。同社は、インターネット完結型の売掛保証クラウドサービス「URIHO」を手掛ける。売掛保証は倒産などで取引先から入金されない、いわゆる貸し倒れリスクに備えるもので、費用や審査などの手間から、従来は大企業でしか利用されなかったという。URIHOは、売掛保証に関するプロセスをシステム化することで、月額数万円程度で利用可能な中小企業向けサービスを実現した新規性などが評価された。

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