低温物流事業を展開するニチレイロジグループは、NTTアドバンステクノロジのロボティックプロセスオートメーション(RPA)ツール「WinActor」を使うことで働き方改革を進めているという。
同社は、ニチレイ傘下の物流会社ではあるが、売上高の92%が外部企業の仕事によるもので、5000社向けの物流を全国115拠点で取り扱っている。だが、多数の顧客からの要望に多数の拠点で応えていることから、標準化できない業務が多く生じているという。
そのような状態について、「RPAの導入に向いているのではと感じた」と、ニチレイロジグループ本社業務革新推進部長の北川倫太郎氏は、NTTグループが8月28日に開催した記者説明会に登壇して述べた。
北川倫太郎氏
北川氏によると、当然のこととして、大半の業務は標準化されたシステムで対応できているという。たとえば、ニチレイロジグループの物流センター管理システム(Warehouse Management System:WMS)では、顧客からの出庫依頼の約95%がデータ化されている。だが、約5%しか発生していない手入力も件数で見ると年間750万件となるという。また、顧客への情報もウェブで提供しているが、ウェブ以外の非定型情報の提供依頼も多いという。
「システム化はされているが、手入力や非定型の業務も多くあり、1業務ごとの規模は小さいため、システム化してもなかなか費用対効果が合わないという悩みがある。このようなところでもRPAが向くのではという仮説を立てた」(北川氏)
そこで、多様な働き方の実現や長時間労働の是正を図るニチレイグループの働き方改革方針をRPAで推進することになったという。
働き方改革においてRPAで第一に実現したいのは「リソースシフト」だと北川氏。物流センターの事務従業員の主な業務は入力作業だという。入力作業のRPA化により生まれる心と時間の余裕は、顧客やパートナー企業とのコミュニケーションの強化や、新しいRPAシナリオ作成や改善活動を実施するといった付加価値を生み出すことに使い、仕事の絶対量を減らして有給休暇取得率を向上させることに役立ててほしいとの考えがあり、それをリソースシフトと呼んでいるという。
「RPAによって生み出された時間は、付加価値創出時間と定義して、これを働き方改革につなげていこうという目標でやっている」(北川氏)
RPA導入で目標とされるリソースシフト
RPA導入に際しては、現場を一番よく知る事務従業員が「自らRPA化業務を選定し、自らRPAシナリオを作成できる」ツールを探すことを考えたという。そして、さまざまな製品でトライアルを実施した結果、自社の働き方改革に適している製品としてWinActorの採用を決定している。
採用の背景には、事業所社員と管理者といった2つの視点から見たメリットがあったと北川氏は説明する。事業所社員、つまり、利用者視点でのメリットとしては、プログラミングをしなくてよいノンプログラミング、マニュアルをはじめとする日本語対応によるわかりやすさ、そして、ユーザーインターフェースの多彩さがあったという。管理者視点でのメリットとしては、コスト優位性が高くスモールスタートがしやすく、研修や導入支援といった代理店のサポートが充実しており、全社展開に向けていろいろな選択肢が考えられたことがあったという。