最高財務責任者(CFO)と最高情報責任者(CIO)の関係性は変化している。以前はCFOが完全にCIOの手綱を握っていたが、デジタル変革の時代に入ってからは、誰がIT支出をコントロールするのかは微妙な問題になってきた。
Grant ThorntonとTechnology Business Management(TBM)Councilが実施した調査「2019 CIO Survey」によれば、IT部門は「コストセンター」から信頼を生む「トラストセンター」に変わりつつあるとCIOは考えている。レポートでは、CIOはもはや単なるPCやサーバーの購入担当者ではなく、戦略的な取り組みを推進する、信頼されたビジネスパートナーとしての新たな役割を担いつつあると述べている。
もしこれが事実なら、CIOにとってはいいニュースだと言えるかもしれない。今や企業は、事業部門に堅固なシステムとサービスを提供するため、厳しくコントロールされた予算を執行することに業務時間のほとんどを費やす、従来型のITディレクターを必要としていない。
このような役割の変化が起こっている理由の1つは、IT技術の調達が事実上分散化していることにある。IT予算の管理は、もはやCFOとCIOの間だけで済む問題ではなくなっている。営業部門、マーケティング部門、人事部門、財務部門の担当役員が、それぞれの課題を解決するために、自分たちでクラウドベースのソリューションを調達するようになっていることを考えれば、CIOは新しい役割を見つける必要がある。
Grant ThorntonのナショナルマネージングプリンシパルLaVerne H. Council氏は、「CIOがIT技術の運用だけを担う時代は終わった」と話す。同氏はレポートの要旨で、今のCIOの最優先事項は、組織全体のビジネス目標に沿ったIT戦略を生み出すことだと述べている。
その戦略の中心は、デジタル化によるビジネス変革の実現になることが多い。調査会社IDCの欧州におけるAI、デジタル変革リサーチプラクティス担当バイスプレジデントNeil Ward-Dutton氏は、その戦略を策定する作業は、CIOが単独で行うものではなく、どちらかと言えばCFOやその他の上級役員との共同作業になるはずだと述べている。