あなたはロボットと一緒に働いているだろうか?上司がロボットだといった冗談はさておき、軽工業や部品製造、石油・ガスといった業界や、さまざまな応用化学分野を含め、ロボットが現場に導入されている領域は増えつつあるため、この質問にイエスと答える人の割合は今後さらに増えていくはずだ。
こういった業界で稼働しているのは、「cobot」という名でも知られる協働ロボットだ。この種のロボットは日を追って作業能力を高めるとともに、多様性を増している。また、その数は膨大なものになってきている。はるかに膨大にだ。
これは、ロボット市場に関する国際ロボット連盟(IFR:International Federation of Robotics)の2019年版年次報告書「World Robotics Report」で示されている重要な事実の1つだ。同報告書によると、2018年における協働ロボットの出荷台数は前年比23%増の1万4000台近くになったという。
2018年には協働ロボットの伸びが顕著だったものの、産業用ロボット分野全体が素晴らしい成長を遂げている。同報告書によると、2018年における世界の産業用ロボット出荷台数は前年比6%増の42万2000台だった。以前から自動化を手がけている業界のなかには苦戦しているところもある点を考えると、この数字は新たな業界で自動化が進んでいるという事実を示しているため、意味深いものがある。
IFRの会長である津田純嗣氏は「2018年は、自動車業界や電機・電子業界といったロボットの主要顧客にとって厳しい年だったにもかかわらず、過去最高の売上高を達成し、力強い実績を残した」と述べるとともに、「米国と中国の間の貿易摩擦によって世界経済に不透明感が漂い、顧客は投資を先延ばしにする傾向にある。しかし、ロボットの年間出荷台数が初めて40万台を超えたというのは明るいニュースだ。IFRの長期的な見通しでは、自動化に向かう流れに変わりはなく、技術的な進展も続くため、2桁台の成長が見込めるとともに、2022年には約58万4000台にまで増えると推定している」と述べている。
新たな業界におけるこういった成長は、建設や鉱業、ヘルスケアといった業界に向かうより大きな自動化の波によって生み出されている。新たに能力を拡大した自動化テクノロジーは、力強い世界経済に伴う人材不足という状況に開発者たちが応えようとするなかで、急速にオンライン化に向かっている。