IDC Japanは日本と中国における産業用ロボットの利用動向を調査、11月20日にその調査結果を発表した。日中における、産業用ロボットの導入状況や導入事業者の選定基準などについて比較・分析している。
産業用ロボットサプライヤーと聞いて最初に思い浮かぶ企業については、日本ではファナックと安川電機が上位に挙がった。一方で、中国では21.7%の回答者がスイスのABBを挙げて最も認知度が高く、日本のサプライヤーではパナソニックが上位に位置している。
日本と中国において産業用ロボットサプライヤーとして最初に思い浮かぶ企業
ABBは1990年以降、産業用ロボットの現地生産から販売までを行うサプライチェーンを構築している。また、2015年には双腕型協働ロボット「YuMi¥を発売するなど、中国の製造現場の需要を適切に把握することで中国市場を牽引してきた。また、パナソニックは、2000年以降、溶接ロボットの現地生産および技術者の積極的な養成によって販売を加速し、市場の認知度を高めた。
また、産業用ロボットを導入する際の事業者の選定要件については、日本の製造業は、「産業用ロボットの導入、機能調整、プログラミング、導入試験が可能」を挙げる企業が21.7%で最多となった。また、中国の製造業は「顧客の用途に応じて、必要機能をモジュラ単位で提供、またはカスタマイズの選択肢を提供できる」が25.0%で、必要な機能を実装した産業用ロボットの導入提案を導入事業者に期待する傾向がある。さらに日中ともに多かった回答は、「顧客要件や導入予算を把握し、最適なソリューションを提案できる」だった。
IDCは、中国市場では、新松机器人や上海新時達電気などの現地サプライヤーの存在感も高まっているとし、国内産業用ロボットサプライヤーはITを活用した産業用ロボットと搬送ロボットの連携など、ロボット間連携に向けた機能強化に取り組んでいくことが重要だとした。