Oracleの会長兼最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏はしばしば、Amazonが依然としてOracleのデータベースを使用しているとしてAmazon Web Services(AWS)をやゆしてきたが、最後に笑うのはAWSだったようだ。
AWSは米国時間10月15日、Amazonのコンシューマー向け事業が、Oracleデータベースからの移行計画を完了し、7500近くのOracleデータベースに格納されていた75ペタバイトのデータをAWSの複数のデータベースサービスに移行させたと発表した。
今回の動きによって、OracleとAWSの間での挑発的な言葉のやり取りがいったん収束する可能性もあるが、移行の詳細に目を向けると今後も論争が続く可能性もある。Ellison氏はAWSに常に対抗心を燃やしており、最近も「Oracle OpenWorld 2019」でジャブを放っていた。AWSはクラウド市場をリードしている。
AWSはOracleに背を向ける今回の動きについてブログで概要を説明している。AWSは今後、自社のこの動きをケーススタディとして顧客にアピールするかもしれない。
われわれはここ数年で、膨大な数のレガシーなOracleデータベースに対する管理と規模の統制にあまりにも多くの時間を費やしてきていることに気付いた。われわれのデータベース管理者(DBA)は、他社との差別化を図るための高い価値を有した作業に注力するのではなく、トランザクション量と保存されているデータ全体が増加するなかで、システムを稼働させ続けるためだけの作業に多くの時間を費やしてきた。これには、ハードウェアの複雑かつ非効率的なプロビジョニングや、ライセンス管理、今やモダンなマネージドデータサービスで取り扱うのが最適となっている多くの作業のための時間が含まれていた。
Oracleは、「Oracle Autonomous Database」によってこういった管理にまつわる時間を削減できると主張するかもしれない。
しかし現実的に考えると、AWSはAmazonのコンシューマー事業を移行させることで、かつてないほどの見返りを市場から得ることになるはずだ。また、Amazonのコンシューマー事業における100以上のチームが以降の取り組みに貢献した。データベースを目的に応じて構築するアプローチが実現されるだろう。一方、Oracleはこれによってデータベースの無秩序な拡大につながると主張するかもしれない。なお、Amazonは現在も一部でOracleデータベースを使用している。これについてAWSは、「一部のサードパーティーアプリケーションは、Oracle(データベース)と密接に連携しているために移行していない」と説明している。
それでも、Amazonのコンシューマー事業部門はほとんどのシステムを、「Amazon DynamoDB」「Amazon Aurora」「Amazon Relational Database Service(RDS)」「Amazon Redshift」などのAWSデータベースに移行した。こういった移行はAmazonのプロプライエタリーなシステムでは100%の達成率となっている。
Amazonは、これによりデータベースのコストを60%以上、レイテンシーを40%、データベース管理者のオーバーヘッドを70%削減したと主張している。
OracleからAWSに移行したデータの規模は非常に大きい。例えば、不正な購買者に対処するチームは40TBのデータを、会計帳簿関連のチームは120TBのデータを移行したという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。