Oracleの最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏は、AmazonやSalesforceがOracleのデータベースに依存していることを得意げに話すことがあるが、両社がOracleから移行する計画を進めつつあるという報道が流れた。
The Informationの報道によれば、AmazonとSalesforceはOracleデータベースに依存する状況を終わらせる努力を真剣に進めているという。同サイトは、匿名の情報筋の話として、AmazonとSalesforceが独自のデータベースを準備中だと報じた。
Salesforceは過去にも、Oracleへの依存度を減らすためにオープンソースデータベースの導入を試みたことがあり、そのような取り組みが行われるのは不思議ではない。Amazon Web Services(AWS)も、データベースに対する取り組みを強化している。それでも、Oracleのデータベースは両社を支える基盤として提供されてきた。
SalesforceとAmazonは、Oracleに対抗するためのパートナーシップを組んでいる間柄でもある。しかし当面は、両社ともOracleの顧客であり続ける可能性が高い。企業の合併吸収なども考えれば、今後も両社の一部はOracleを使っている状態が続くと見られる。例えば、Amazonに買収されたWhole Foodsは、(少なくとも今のところは)「Microsoft Azure」の顧客だ。
現実問題として、そうあってほしいという希望と、投資対効果と、技術的に見て現実的なソリューションは必ずしも一致しない。競争の状況を考えても、SalesforceとAmazonがOracleへの過度の依存から脱却したがっていることは明らかだ。実際、かつてSalesforceはオープンソースソフトウェアの導入によってOracleへの依存度を下げようとしていると報じられたこともあるが、2013年には、結局Oracleとあらためて手を組んだ。タイミングを考えると、Salesforceがデータベース開発を進めているという新たなニュースは、Oracleとの契約交渉に焦点を合わせたものだと見るのが妥当かもしれない。今後、AWSがSalesforceのデータベースワークロードの一部を引き受ける可能性もある。
結局のところ、もしEllison氏が得意げな発言をしていなければ、OracleとAmazonやSalesforceの関係がこれほど取り上げられることはなかったかもしれない。興味深いのは、仮にAmazonとSalesforceが望んだとして、Oracleから完全に脱却することが果たして可能なのかどうかだろう。ただし、両社が進めるデータベースの分散化の取り組みがどのような展開になるとしても、Ellison氏の発言を和らげることにはなるとは考えにくい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。