クラウド時代に向けてバックアップの新たな在り方を訴求して急成長を遂げているソフトウェアベンダーがいる。スイスのVeeam Softwareだ。日本企業の間でも注目度が高まっているが、果たしてこれまでのバックアップと何が違うのか。日本法人ヴィーム・ソフトウェア執行役員社長の古舘正清氏に聞いた。
クラウド時代に向けたバックアップの新たな在り方を訴求
「そのバックアップ、本当に戻りますか?」――。古舘氏は、ヴィーム・ソフトウェアの最新のカタログに大きく記されたこのメッセージを示しながら、「この点を今、日本の企業の皆さんに問いかけたい。実は、4割もの企業が戻らないのではないかと当社では見ている。ぜひ、確認してみていただきたい」と訴えた(写真1)。
写真1:ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏
上記の発言は、今回の古舘氏への取材の中で、特に同氏が「一番話したかったこと」だと言う。衝撃的な話なので、最初に記しておきたい。そして、この問題を解消すべく、同社が提供している包括的なソリューションが「Veeam Availability Platform」である。
古舘氏によると、Veeam Softwareのソリューションは技術的な“肝”として、「RTO(目標復旧時間)の最短化による高速リカバリー」「RPO(目標復旧時点)の最小化によるデータロスの回避」「バックアップおよびレプリカの自動復元テストによる検証済みのリカバリー」「バックアップおよびレプリカデータの有効活用」「IT環境全体の詳細な状態把握」といった5つの特長がある。
また、Veeam Availability Platformは、仮想や物理といったオンプレミスだけでなく、パブリッククラウド、マネージドクラウド、SaaSに至るまで、顧客企業の重要なデータやワークロードをシンプルで柔軟かつ確実に、保護、管理、移行、復元を可能にしている(図1)。
図1:Veeam Availability Platformの概要(出典:ヴィーム・ソフトウェアの資料)
さらに、同社はこのVeeam Availability Platformをベースとして、バックアップの新たな在り方を訴求しているのだが、その前に同社そのものの紹介をしておこう。
2006年にスイスで創業したVeeam Softwareは、VMwareの仮想基盤のバックアップ&リカバリソリューションを提供するベンダーとして成長してきた。その後、仮想基盤だけでなく、複数のクラウドにまたがる環境でワークロードとデータ保護をサポートするベンダーとして注目されるようになった。
2019年5月までのグローバルの年間売上高が10億ドルを超え、顧客企業は35万5000社、パートナー企業は6万6000社を数える。Gartnerによるデータセンターバックアップ&リカバリソリューション分野のマジック・クアドラントにおいて、2017年から2019年まで3年連続でリーダーに選出されている。