ベリタステクノロジーズは11月28日、小規模・エッジ向けのデータ保護アプライアンス「Veritas Flex 5150」を発表した。従来、バックアップソフト「Backup Exec」の領域だった小規模環境でも、エンタープライズ向け機能を備えた「NetBackup」でカバーできるようになるという意味で同社初の製品とうたわれる。
概要を説明した常務執行役員 テクノロジーセールス本部の高井隆太氏は、まず同社のアプライアンス製品の基本的なコンセプトとして、「ソフトウェアをお客さまが必要な場所で使っていただくため」の提供形態だと説明し、ソフトウェア製品を利用する際に必要になるプラットフォームの調達からインストール、最適化やチューニング、アップデートといったさまざまな作業負担を避けることができる点がメリットだとした。
ベリタステクノロジーズ テクノロージーセールス本部 常務執行役員の高井隆太氏
また今後、データがさらに増加する時代を迎え、大半のデータがデータセンター外で生成されることになると予測される中、「データセンター外で生成されたデータをどうやって保護するのか」が重要な課題になると同氏は指摘した。対策としては、ネットワークなどを経由してデータセンターにデータを転送して保護するか、何らかのシステムを設置した上でデータの発生場所であるエッジでデータを保護するかのどちらかだが、前者には大量のデータを移動することに起因する時間やコストが、後者はエッジ側でデータ保護ができる人材を配置することの困難さが課題として挙げられる。
新製品であるFlex 5150は、小規模向けにコストを抑えたアプライアンス製品で運用負荷も低いことから、これらの課題を解決できる重要な戦略製品として投入されるものだという。
続いて、データ保護ソリューションスペシャリストの勝野雅巳氏が製品の詳細を説明した。Flex 5150は既に発売済の「Flex 5340」に続く、2機種目のFlexプラットフォーム採用アプライアンスとなる。同プラットフォームは、同社独自のコンテナープラットフォームをベースに、コンテナー化されたソフトウェアインスタンスを稼働させる構造になっている。このため、起動するインスタンスを切り替えることでアプライアンスの役割を切り替えたり、アップデートなどの作業が容易になったりといったさまざまなメリットが得られるという。
ベリタステクノロジーズ テクノロージーセールス本部 データ保護ソリューションスペシャリストの勝野雅巳氏
Flex 5150では、小規模向けにコストを抑える意味もあって同時起動インスタンス数は2つまでとなる。一般的なバックアップアプライアンスとして運用する際にはマスターサーバーとメディアサーバーの2つのインスタンスを起動する。また、重複排除機能を備えた「クラウドゲートウェイ」として活用することも可能で、この場合は「CloudCatalyst」インスタンスを起動することで対応する。上位機種のFlex 5340の場合は、6インスタンスを同時起動可能なのでこれらのロール全てを1台で実行することが可能だが、Flex 5150の場合はバックアップかクラウドゲートウェイかどちらかを選択して実行することになる。技術的には、別途メディアサーバーを準備した上でFlex 5150上でマスターサーバーとCloudCatalystの2つのインスタンスを稼働させることは可能だが、実用上はメリットが乏しく、こうした運用形態は想定されていない。
Flex 5150の新発売を受け、従来のアプライアンス製品「NetBackup 5240」は中規模向けアプライアンスと位置付けられた上で販売継続される。NetBackup 5240はFlexアーキテクチャー以前のモデルだが、勝野氏によれば同アーキテクチャーでは実装されていない機能もあるということで、ユーザーによって使い分けることが想定される。なお、Flex 5150の一般販売は2019年末までに開始される予定で、価格は未発表だが従来機種となるNetBackup 5240との比較では同等規模の構成の場合に定価ベースで約40%安価になるとされている。