データを取り巻く「複雑性の抽象化に取り組む」--ベリタスが新基盤

渡邉利和

2019-07-04 10:26

 ベリタステクノロジーズは7月3日、基幹製品である「NetBackup」の最新版「Veritas NetBackup 8.2」と、同製品を中核とする統合テクノロジーとして「エンタープライズ・データサービス・プラットフォーム(Enterprise Data Service Platform)」を発表した。

ベリタステクノロジーズ 代表執行役員社長の大江克哉氏
ベリタステクノロジーズ 代表執行役員社長の大江克哉氏

 まず代表執行役員社長の大江克哉氏は、最近の同社の経営状況について説明した。同氏によれば、2018年1月に米本社のCEO(最高経営責任者)にGreg Hughes氏が就任して以来、Hughes氏のリーダーシップの元で新たな戦略を構築した。その結果、「顧客企業の課題にフォーカスする」「NetBackupにフォーカスする」という2つの戦略が確立されたという。同社の製品戦略を示す新たなメッセージとして「abstracting complexity(複雑さを抽象化し、結果に重点を置く)」を打ち出した。

 その「複雑さを抽象化する」という具体的な取り組みが。新たな「Enterprise Data Service Platform」になる。大江氏は、併せてEnterprise Data Service Platformのキービジュアルを紹介、「データ」を表現した5本の縦線の周囲を赤、青、黄色の線が取り囲んだデザインになっているが、これは今後の製品戦略の3本柱とする「(データ)保護」「可用性」「インサイト」の3つの要素を重ね合わされた意匠だという。

「Veritas Enterprise Data Service Platform」のキービジュアル
「Veritas Enterprise Data Service Platform」のキービジュアル

 データを取り囲む赤い四角形は「保護」を象徴し、2つの青い四角形は「二重化」の意味で可用性を表現しているという。辺の中央部が欠けた黄色の四角形はカメラのフォーカス表示をイメージして「インサイト」を意味するとした。今回は、この3要素全てについて新製品や製品の新バージョンが発表された。

データを象徴するという5本の縦線の周囲に赤、青、黄色の四角形を配置し、それぞれ「保護」「可用性」「インサイト」を表現する。3つのデザインを全て重ね合わせると全体を示すキービジュアルになる
データを象徴するという5本の縦線の周囲に赤、青、黄色の四角形を配置し、それぞれ「保護」「可用性」「インサイト」を表現する。3つのデザインを全て重ね合わせると全体を示すキービジュアルになる

 大江氏は国内の事業概要にも触れ、ソフトウェア事業を中核に据えた上で3つの成長分野「アプライアンス」「クラウド」「コンサルティング」に注力しているとした。2018年実績の前年比成長率は、アプライアンスで145%、クラウドで319%、コンサルティングで154%だったといい、同氏は期待通りの成長を遂げたと報告、2019年度の国内事業は2桁成長が目標になるとした。

 製品戦略について常務執行役員の高井隆太氏は、保護では「NetBackup」、可用性では「InfoScale」のバージョンアップを行った説明、インサイトでは、新製品として「Information Studio」(SaaS提供されていたInformation Mapをオンプレミス向けに仕立て直した製品)と「APTARE IT Analytics(2019年3月に買収を発表しAPTARE製品を統合)」の提供を開始した。これら製品群がこれまで以上に密接にAPI連携することで、プラットフォームとして統合されていくとしている。

 基幹製品のNetBackup 8.2は、約3年ぶりのメジャーバージョンアップになる。データ保護ソリューションスペシャリストの勝野雅巳氏は、主な機能強化点に「API連携の強化」「クラウドへのペタバイト規模のデータ保管」「仮想化環境への大幅なサポート強化」の3点を挙げた。

 API連携では、以前から提供していたNetBackupの基本的な機能に加え、新たに管理機能やデータ復旧機能などもAPI経由で利用できるように拡充したという。その結果、従来は実現できなかったきめ細かい機能連携が可能になったとした。

Enterprise Data Service Platformの全体像。具体的な単一製品というわけではなく、NetBackupを中核に同社のさまざまな製品/サービスがAPIによって密接に連携/統合されることで、ユーザー企業が望むレベルでの抽象化を実現する論理的なプラットフォームが実現されるという構造だ
Enterprise Data Service Platformの全体像。具体的な単一製品というわけではなく、NetBackupを中核に同社のさまざまな製品/サービスがAPIによって密接に連携/統合されることで、ユーザー企業が望むレベルでの抽象化を実現する論理的なプラットフォームが実現されるという構造だ

 また、クラウド活用が広がる一方で、ペタバイト規模の大量データをネットワーク経由でクラウドにコピーするのは非現実的だという。そこで「AWS Snowball」や「Azure Data Box」といったパブリッククラウドベンダーによるハードウェア経由でのデータ移行手段があることを踏まえ、同社ではNetBackupもこうしたデバイス活用をサポートする。今回はNetBackupのデータ管理機能がこうしたデバイス経由でのデータ移行を正しく管理できるようになったという。

 仮想化機能のサポート強化では、「OpenStack VM」や「Red Hat Virtualization(KVM)」のサポートが新たに追加されている。

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