Hewlett Packard Enterprise(HPE)は12月3~4日にかけてドイツ・ミュンヘンで「HPE Discover More Munich」を開催した。同社プレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるAntonio Neri氏は「HPE GreenLake Central」を基調講演で発表し、アズ・ア・サービス戦略を進めた。
HPE プレジデント兼最高経営責任者(CEO)のAntonio Neri氏
エッジからクラウドのプラットフォームとアズ・ア・サービス
Discover MoreはHPEが世界各地で展開する顧客向けイベント。毎年夏に米国でフラッグシップイベント「HPE Discover」を開催し、Discover Moreはその内容をより地域の特性に合わせたものとなっている。
2015年秋にHPEとして再出発してから4年、2018年からCEOとしてHPEを率いるNeri氏は、2018年のDiscoverでは「エッジに4年で40億ドルを投じる」と発表し、2019年のDiscoverでは「2022年までにポートフォリオ全てをアズ・ア・サービスで提供する」と発表している。4日の基調講演では、「エッジからクラウドまでのプラットフォームを、サービスとして提供する」と強調した。
デジタル変革が業界を問わず企業の重要なテーマとなる中、HPEは将来のエンタープライズは「エッジ中心」「クラウド対応」「データ主導」になると定義する。
「2022年までにデータの75%が伝統的なデータセンターやクラウドの外で生成される」というGartnerの予測を引用し、「エッジからクラウドのアーキテクチャーと体験が必要」と述べる。エッジで求められるのはシームレスな接続体験、安全性、パーソナライズ、自動化など、これらをクラウドの体験と合わせて提供するというのがHPEの戦略だ。
クラウド体験をハイブリッドにもたらす「GreenLake Central」
エッジからクラウドまでのプラットフォームをアズ・ア・サービスとして提供するというHPEの戦略の部品は、消費型サービスの「HPE GreenLake」、ネットワーク製品の「Aruba」、ハイブリッドクラウドソリューションの「HPE Hybrid Cloud」となる。
HPEはエッジからクラウドまでのアズ・ア・サービス戦略を打ち出している
GreenLakeにより顧客はオンプレミスでありながらクラウドのように使うことができる。既にストレージやコンポーザブルインフラ向けの従量課金サービスやバックアップサービス、「SAP HANA」向けのワークロードソリューションを備えるが、Neri氏は基調講演で“次のステップ”としてGreenLake Centralを発表した。
GreenLake Centralはサービスポータルと運用コンソールの両方の役割を持つ。オンプレミス、パブリッククラウド、エッジなどで構成されるハイブリッドIT環境の稼働、管理、最適化をセルフサービスで行うことができるという。クラウドについては、まずAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureに対応し、Google Cloud Platform(GCP)もサポート予定となっている。
2017年に買収したCloud Cruiserのメータリング機能を使うことで、オンプレミスやクラウドでの使用量を計測でき、業務や役割に応じて必要な情報やツールをすぐに得られるようになっている。これにより、「開発者はコーディングに集中できるし、データサイエンティストはデータやストレージの管理に気を取られることがなくなる。IT運用担当はセキュリティやコンプライアンスを確保しながら、事業に必要なサービスの仲介人になれる」とNeri氏は話す。
「クラウドは目的ではなく体験だ」とNeri氏は語る一方で、クラウドの体験はパブリッククラウドかプライベートクラウドで稼働するアプリケーションに限定される。だが、企業がデータセンターで動かす従来型の業務アプリケーションはクラウドの体験を得られていない。GreenLake Centralはそのようなアプリケーションに対しても、クラウドのような体験をもたらそうという狙いがある。
「エッジからクラウドに至るまで、システムの俊敏性やコスト・使用量の可視化、ガバナンスの確保を得ることができる。これによりデジタル変革の旅路を加速できる」(Neri氏)