ユーシーカードと日立製作所(日立)は、指静脈認証によるキャッシュレス決済の実証実験を実施している。期間は、2019年12月12日から2020年3月末まで。同実験では、生体情報を暗号化して登録・照合する技術「PBI(Public Biometrics Infrastructure:公開型生体認証基盤)」を活用している。
実証実験では、数百人を対象にクレジットカード番号と指静脈情報をひも付けるユーザー登録を実施。その上で、ユーシーカード加盟店の飲食店など複数店舗において、指静脈認証だけで決済を行う。複数店舗におけるクレジットカード番号とひも付けた指静脈認証決済は、国内初の取り組みだとしている。
ユーザー登録は、VisaかMastercardのロゴ付きカードであれば対応可能。本格展開した際は、会員制ホテルリゾートやアミューズメント施設やフィットネスジム、年々増加する訪日外国人旅行客が利用する施設などを対象に手ぶらでのキャッシュレス決済サービスの普及を目指す。
実証実験では、クラウドサービス上にPBIを活用した指静脈認証システムを構築。店舗側で新たにシステムを構築することなく、タブレット端末と指静脈認証装置を設置するだけでサービスを始めることが可能となる。また今回のシステムでは、生体情報を復元困難な形に暗号化して登録・照合するPBIを用いることで、生体情報自体をクラウド上に保存しなくて済む。加えて、クレジットカード情報と暗号化された生体情報は別々に保管される仕組みとなっており、情報漏えい防止の観点においても十分なセキュリティ対策を施しているという。
この取り組みにより両社は、店舗とユーザー双方の利便性向上とクレジットカードの不正利用やなりすましの防止が可能になるとしている。
店舗でのキャッシュレス決済イメージ(出典:ユーシーカード、日立)