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ZDNet Japn Summit 2019 講演レポート

日立製作所
「2025年の崖」を飛び越えるポスト2020時代のIT基盤
--日立が提案するオープンな高信頼システム

 メインフレームやUNIXマシンで構築されたミッションクリティカルシステムをデジタルトランスフォーメーション(DX)で刷新する際、どのようなシステムが望ましいのか。日立製作所の木村昌太郎氏は、10月17日に開催された「ZDNet Japan Summit 2019」で「『2025年の崖』を飛び越えるポスト2020時代のIT基盤」と題して講演。オープンでありながら堅牢で利便性と高信頼性を兼ね備えたシステムの実現方法を紹介した。

日立製作所
ITプロダクツ統括本部
HCIソリューション統括部
サーバ商品企画G
主任技師
木村昌太郎氏
日立製作所
ITプロダクツ統括本部 HCIソリューション統括部
サーバ商品企画G 主任技師
木村昌太郎氏

ミッションクリティカルに求められる3つの要件

 ミッションクリティカルシステムとは、24時間365日、システムを止めることが許されない基幹系のシステムを指す。例を挙げると、各省庁や地方自治体が持っているスパコン、社会インフラでは列車の運行管理や空港管理システム、金融領域ではメインバンクの勘定系システムなど多岐にわたる。これらは公益性・公共性が高いシステムのため止めることは許されず、停止しても分・秒オーダーで再稼働させなければならない。

 木村氏は、ミッションクリティカルシステムに求められる要件として3項目を挙げる。まず障害が起きにくい「堅牢性」。2つめは万が一、障害が発生した場合でもシステムダウンせずに稼働し続ける「高可用性」。3つめは性能が一定である「安定性」である。

 現在のミッションクリティカルシステムは、この要件を満たすべくメインフレームやUNIXサーバ上にクローズドシステムとして構築されてきた。それらのシステムは現役稼働中であるが、多くが技術面での老朽化に加え、改変を続ける中で複雑化・肥大化などの問題を抱えている。ハードもソフトも付け足しの改善で対応してきた結果、人手による運用で何とかカバーしているといった状況だ。そして経済産業省が「2025年の崖」で最も懸念している部分が、システムのブラックボックス化である。

 「中身が分からないので、何かあっても現行システムを再現できない。当時のシステムがどんな設計思想か、電子データとして残っていないため、どうなっているかを確認するのが難しいことが多い」(木村氏)

 2025年に向けてソフトやハードのサポートが終了し、古いシステムに従事している技術者も定年を迎えシステムを延命できなくなる。他方では、米中貿易戦争など不安定なマクロ経済環境。レガシーシステムのままでは、企業はグローバルビジネスに柔軟に対応できず生き残れないため、システムを刷新する必要がある。これが経産省の指摘だ。

2025年の崖をクリアする鍵はオープン技術と仮想化

 木村氏は2025年の崖に対して、「汎用技術の活用に活路を見出す」ことを提案する。「オープンアーキテクチャを積極的に使えば、汎用製品を使えるためハード/ソフトのシステム更改の悩みが少なくなり、人材も確保しやすくなる。市場に溢れるソリューションも利活用できるなど多くのメリットがある」とする。

 ミッションクリティカルの基盤であったメインフレームやUNIXサーバはx86サーバに移行する傾向だが、その際に「x86で切り離せないのが仮想化テクノロジー」と木村氏は語る。サーバの仮想化では、昨今のx86アーキテクチャはCPUコア数、メモリー、I/Oと、どんどん進化していて、サーバをベアメタルで使っていると使いきれずにリソースが余る。これらをソフト技術で仮想マシンに分配することで、サーバリソースを完全に使い切ることができる。

 また、仮想化領域をストレージまで拡大した「HCI(Hyper-Converged Infrastructure)」が注目されている。サーバとストレージ、それぞれのハードウェアリソースを一旦仮想ソフトが受け、それをユーザーが設定した単位に細切れにして少しずつ小さな仮想マシンを作る技術だ。これにより、コンピューティングリソースを垂直統合した従来型のコンバージド・インフラと比べても、TCOおよび保守コストの削減、柔軟なスケーラビリティ、ディスクアクセスのパフォーマンス向上といったメリットが得られる。

オープン化する際の不安を解消するソリューション

 日立がこれまでx86、仮想化基盤の提案をしているなかで、ユーザーからは3種類の不安の声が上がってきたと、木村氏はいう。

 「まず性能が安定しないのではないかということ。ミッションクリティカルでデータを頻繁にやりとりするようなDBシステムなどでは許容されない。次に業務継続性。仮想環境でハードウェア障害が1つ起きると、その上に乗っている仮想マシンはすべてダウンしてしまう。もう1つがシステムのライフサイクル。他ベンダーのOSを含め、いかに長期サポートされるかということだ」(木村氏)

 日立はこれらの問題を解決するため、サーバ製品「RV3000」とVMwareの仮想化ソフト「VMware vSphere」を組み合わせた「高信頼プラットフォームソリューション」を展開。同ソリューションは、「一般的なオープン環境に対してプラスαで足りない部分を機能実装することで、ユーザーの不安を解消していく」(木村氏)というアプローチをとっている。ハードと仮想化レイヤーに対しては、性能安定化の機能と業務継続性の実装を統合。OSレイヤーにおいても、業務継続性を補強するような信頼性強化を実施し、可用性・保守性と利便性の両立を実現している。サポートは、VMwareとの特別な契約で独自の体制を確保している。

図:日立の高信頼プラットフォームソリューション 図:日立の高信頼プラットフォームソリューション
※クリックすると拡大画像が見られます

 ユーザーの不安に対する回答という切り口で見ると、性能の安定性については「VMware vSphere DirectPath I/O」技術によってデータの通り道を増やし、ハードのリソースを仮想マシンに対して直接占有割り当てすることで解決する。ワークロードの変動が他の仮想マシンに影響を与えないため、安定稼働を実現する。

 業務継続性に対しては、障害が発生した際に局所化して対応。二重化と占有割り当て技術により、1カ所で障害が発生しても、追加で実装したファームウェアが障害を検出してそのPCIカードを切り離し、別のPCIカードに処理を渡して業務継続を担保する。システム装置本体の障害に対しては、クラスター構成を組むことでメインフレーム並みの切り替え時間を実現し、ダウンタイムを最小限に抑える。これらの機能を、ベアメタル環境でも仮想化環境でも実装している。

 ライフサイクルについては、通常のx86マシンのサポートは5年であるところを、10年というメインフレーム並みのサポート期間を担保。ハードに加え、仮想化ソフトの10年対応をVMwareとの協業で実現。これは業界でも日立だけだと話す。

 「日立、VMware、他ベンダー含めたサポート体制で、事故が起きたら不良を叩き潰して二度と出さないようにする。通常の障害対応のレベルでなく何故こういう問題が起きたかお互いに調査し理由を突き詰め、対策の内容がお客様に納得してもらえるレベルで説明できるように契約レベルで落とし込んでいる」(木村氏)

 10年のライフサイクルは、サポートのほかに5年後のシステム更改・再設計コストがいらないというメリットもある。数年かけて点在する基幹システムをまとめ、統合基盤を構築するDXのケースでは、5年後に本番稼働する更改しなければならないシステムがあった場合、評価を5年間行いながらそれぞれの業務改善の検討をしつつ5年後に移行を終え、運用を開始するという長期視点のシステム移行を実現できる。

要件をいかにオープンアーキテクチャに当てはめていけるか

 今回木村氏は、1つのソリューションによる解決方法を紹介したが、道筋は必ずしも1つではないと話す。

 「ミッションクリティカルの要件は各システムによってそれぞれ。ユーザーの要件をしっかり聞いて、オープンアーキテクチャにいかに当てはめていくかを日立は考えていく。お客様の課題解決とともに、社会に対して公益性公共性を維持する止めないシステムを提供することで豊かな社会を実現していく」と講演を締めくくった。

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