AI創薬基盤「Deep-Quartet」、武田薬品工業との共同検証プロジェクトを開始

NO BUDGET

2019-12-23 15:05

 インテージヘルスケアと理論創薬研究所、アフィニティサイエンスは12月19日、人工知能(AI)技術を用いた創薬基盤「Deep-Quartet」について、武田薬品工業と共同検証プロジェクトを開始すると発表した。

 インテージヘルスケアら3社はこれまで、トータルに研究開発をサポートする創薬計算サービス「ACISS」(エイシス)や、インシリコ創薬戦略コンサルティングなどの創薬支援サービスを共同で展開してきた。2018年にはディープラーニングなどのAI技術を用いた化合物の構造生成技術(de novoデザイン技術)を既存のソフトウェアと連携させ、実践的な創薬AI基盤であるDeep-Quartetを提案。同技術の一部は既に研究開発を経て関連学会での発表も行われており、論文公開も予定されているという。

 2019年10月に本格提供を開始したDeep-Quartetは、深層強化学習の技術である「Deep reinforcement learning」、ファーマコフォアモデルを用いるソフトウェア「LigandScout」、網羅的なターゲット予測を可能とする機械学習ベースの技術「CzeekS」を組み合わせた一連のフローで、そこに製薬企業各社の「メディシナルケミスト」(有機合成化学者)の知見を加えることで、Quartet(四重奏)によるAI創薬基盤を実現するという意味を込めているという。

Deep-Quartetの概念図
Deep-Quartetの概念図(出典:報道資料)

 Deep-Quartetの技術開発に当たっては、(1)ディープラーニングなどのAI関連の技術開発のスピードは速く、最新の技術を継続して取り入れる仕組みと体制を作ること、(2)そのAI関連技術と、既存で実績ある手法・ツールを積極的に組み合わせて活用すること、(3)より実践的な創薬につなげるために、AIが出す結果はメディシナルケミストと議論できるものであること――の3点が重視されている。

 Deep-Quartetでは、最新のAI技術をブラックボックス化せず、細かなノウハウも含めて情報公開するオープンイノベーションにより進化させていくコンセプトのもと研究開発に取り組んでいる。学会発表や論文投稿のほか、ユーザーである製薬企業には社内講習会などにより技術の詳細を共有し、同時にフィードバックを得ることでDeep-Quartetを進化させていくスタンスを取っているという。また、Chemical DBやCzeekSには各社独自の社内データを用いることで、製薬会社の持つ知見をAIに取り込むことができるようになっている点も特徴だとしている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]