インテージヘルスケアと理論創薬研究所、アフィニティサイエンスは12月19日、人工知能(AI)技術を用いた創薬基盤「Deep-Quartet」について、武田薬品工業と共同検証プロジェクトを開始すると発表した。
インテージヘルスケアら3社はこれまで、トータルに研究開発をサポートする創薬計算サービス「ACISS」(エイシス)や、インシリコ創薬戦略コンサルティングなどの創薬支援サービスを共同で展開してきた。2018年にはディープラーニングなどのAI技術を用いた化合物の構造生成技術(de novoデザイン技術)を既存のソフトウェアと連携させ、実践的な創薬AI基盤であるDeep-Quartetを提案。同技術の一部は既に研究開発を経て関連学会での発表も行われており、論文公開も予定されているという。
2019年10月に本格提供を開始したDeep-Quartetは、深層強化学習の技術である「Deep reinforcement learning」、ファーマコフォアモデルを用いるソフトウェア「LigandScout」、網羅的なターゲット予測を可能とする機械学習ベースの技術「CzeekS」を組み合わせた一連のフローで、そこに製薬企業各社の「メディシナルケミスト」(有機合成化学者)の知見を加えることで、Quartet(四重奏)によるAI創薬基盤を実現するという意味を込めているという。
Deep-Quartetの概念図(出典:報道資料)
Deep-Quartetの技術開発に当たっては、(1)ディープラーニングなどのAI関連の技術開発のスピードは速く、最新の技術を継続して取り入れる仕組みと体制を作ること、(2)そのAI関連技術と、既存で実績ある手法・ツールを積極的に組み合わせて活用すること、(3)より実践的な創薬につなげるために、AIが出す結果はメディシナルケミストと議論できるものであること――の3点が重視されている。
Deep-Quartetでは、最新のAI技術をブラックボックス化せず、細かなノウハウも含めて情報公開するオープンイノベーションにより進化させていくコンセプトのもと研究開発に取り組んでいる。学会発表や論文投稿のほか、ユーザーである製薬企業には社内講習会などにより技術の詳細を共有し、同時にフィードバックを得ることでDeep-Quartetを進化させていくスタンスを取っているという。また、Chemical DBやCzeekSには各社独自の社内データを用いることで、製薬会社の持つ知見をAIに取り込むことができるようになっている点も特徴だとしている。