本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティ業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティを向上させていくための視点やヒントを提示する。
記事のタイトルを見て、違和感を覚えた読者が多いかもしれない。実は、筆者はこれまで幾つかの媒体で「進撃の巨人」や「機動戦士ガンダム」「ドラゴンクエスト」などを題材に、セキュリティ対策を解説してきた。そこで今回は、「ドラゴンボール」の愛すべきサブキャラのヤムチャを例に、セキュリティ対策の意義や必要性について述べていきたい。
まずは、ヤムチャを選んだ理由を説明したい。筆者は団塊ジュニアと呼ばれる世代であり、週刊少年ジャンプの全盛期に学生時代を過ごした。中でも当時No.1の人気連載だったのがドラゴンボールだ。しかし、ヤムチャについては特別好きだったわけではなく、少なくともこの何年の間は頭の片端にすら浮かんだこともなかった。
そんな筆者にとって比較的どうでもいい扱いだったヤムチャを題材に選んだのは、ウェブで見つけたTwitterでの投稿だ。その投稿には、中国のある広場に、なぜか設置されてしまった「(故)ヤムチャ」が横たわる巨大な像の写真があった。ネットのニュースでも取り上げられたが、報道というよりTwitterなどの拡散で話題になり、これを見た読者もいるだろう。
中国の広場に展示された故・巨大ヤムチャ像 pic.twitter.com/J0LalbJaIJ
— James(ジェームズ) (@James81458933) February 2, 2020
この投稿の写真は、とんでもないインパクトがあった。名前に「故」と付いているのは、ヤムチャが戦いに敗れて亡くなった直後の場面を再現したからである。長いドラゴンボールのストーリーの中の有名な場面の1つに、ヤムチャが「サイバイマン」という敵のキャラクターと戦闘し、最後の自爆攻撃に敗れるシーンがある。この巨大像はそれを再現したものだ。インパクトがものすごくSNSでも瞬時に拡散し、筆者が偶然それを見つけたという次第である。
筆者の子供たちにこの写真を見せたところ、そのインパクトに大爆笑した。高校生の長男は、リニューアルされたドラゴンボールのテレビ番組が最近まで放送されていたことやゲームをプレイした経験もあったためドラゴンボールに詳しいが、大学生の長女はドラゴンボールを知らないにもかかわらず大笑いした。このようなエピソードがあり、筆者が思っていた以上に老若男女に浸透しているヤムチャを題材として、セキュリティ対策になぞらえて述べてみたいと考えたわけだ。もし、読者が組織の中でセキュリティ対策の話をする際に参考にしていただけると幸いである。