コンタクトセンター・コールセンターソリューションを展開するGenesysは「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策プログラム」の一環として、コンタクトセンター向けクラウド基盤「Genesys Cloud」の無償提供を開始した。日本法人のジェネシス・ジャパンが4月6日に発表した。
期間は、オンプレミス版のユーザーが90日間、非ユーザーが60日間。オンプレミスユーザーには、席数が増えた際に購入が必要なライセンスも提供される。Genesys Cloudの既存ユーザーは、顧客からの問い合わせが予想以上に増加した際に生じる超過料金が免除される。同社は申し込み完了から48時間以内にサービスを立ち上げ、在宅でのコンタクトセンター業務や緊急対応を支援するという。
COVID-19対策プログラムにおいて、これまでGenesysは世界で700以上の既存ユーザーに対し、在宅でのコンタクトセンター業務を支援してきた。2月以降、50万人以上のオペレーターが在宅でカスタマーサービスを提供しているという。
ある大手金融サービス企業は、約1万人に上るコンタクトセンターの担当者を数日で在宅勤務に移行。同社はさらに5000人を在宅勤務にすることを計画している。一方、顧客との取引は急増し、通常の2倍である300万件の顧客対応を処理した。
またフィンランド・ヘルシンキ市は、地元教会の教区や慈善団体と協力して8万人以上の高齢者と連絡が取れる体制を構築。Genesys Cloudはこのサービスのテクノロジー基盤であり、500人のボランティアによるサポートを支えている。同市で「ヘルシンキ・ヘルプライン」の所長を務めるTiina Hörkkö氏は「ヘルシンキ・ヘルプラインを立ち上げる際のGenesysの協力は驚くべきものだった。わずか数日で、われわれは完全に機能するコンタクトセンターを立ち上げ、さまざまなバックグラウンドを持つボランティアメンバーの訓練を完了した」と述べている。
同プログラムの利用により企業・団体は、居場所に関係なく顧客や従業員と効果的にコミュニケーションが取れるクラウドコンタクトセンターを短期間で立ち上げることができるとジェネシス・ジャパンは説明する。提供するサービスには、顧客自身で質問の答えを見つけるセルフサービス、あらかじめ用意された音声による顧客対応、電話・メールのルーティング(ネットワーク上でデータを送る際に、宛先アドレスの情報を基に最適な転送経路を割り出すこと)、やりとりの録音、従業員同士のコラボレーションツール、オンデマンド研修といった機能がある。